日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

「電通と博報堂は何をしているのか」中川淳一郎

最近、若手社員が過労死自殺した問題で電通は何かと注目されています。また、それ以前からも、広告代理店という業種に対しては、何をしているのか具体的にはよくわからない一方で、特に、業界第一位の電通については、強大な影響力や利権を持っている得体の知れない存在という意味で、羨望と疑惑のまなざしが向けられていました。それゆえ、若手社員の過労死自殺の問題が、なおさら注目されたともいえます。

この本は、元博報堂社員であった中川氏が、電通博報堂を中心に、広告代理店とは何をしているのかということを、世間の疑問にも答えつつ、とても分かりやすく説明してくれています。

同時に、広告代理店が、世間からは下請業者を好きなように使って楽をしているというイメージがあり、それはハズレではないものの、一方、サービス業であるためクライアントのニーズには最大限応える必要があること、広告にはこれという答えがないこと、それゆえ考え抜くしかないことといった具体的な事情を説明しつつ、世間一般のイメージとは逆に過剰労働が蔓延しているという中川氏の説明は、この業界を知らない人にとっても納得できます。中川氏は「客に対して忠義を徹底的に尽くす社畜集団」と表現しています。

社畜」なんていまどき古いというのは普通の反応でしょう。たしかに古いです。一方で、今も昔も、お金をくれる人の言うことは聞くしかない、というのも事実です。その意味では、これって意外と自分の業界にもこれあるかもしれない、と共感できると思います。

それにしても、皮肉的でありかつ悲劇的なのは、広告がデジタル化するという技術進歩が、そのような体質とセットになって、更に過剰労働を引き起こしているという指摘は、業界関係者でなければ絶対に指摘できない鋭さがあるとともに、技術進歩の皮肉を感じます。電通の自殺した若手社員もたしか、デジタル関係の部署で働いていました。

一方で、中村氏は、電通のすごさを賞賛しています。クライアントへの営業の仕方、情報収集の仕方など、おそらく、広告代理店だけでなく、営業全般に共通するスキルであり、シロウトの私も、さすが電通だなあと思わず感心してしまうところがあり、営業スキルの勉強になります。電通の給与は相当高水準であることも紹介されていますが、納得してしまいます。

私は広告代理店とは全く関係のない仕事をしていますが、純粋に、広告代理店に興味がある方、なぜか労使自殺は起こってしまったのかということに興味がある方、特に営業としての仕事術を勉強したい方、おすすめです。