日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

「あの会社はこうして潰れた」藤森徹

藤森氏は、民間信用調査会社の帝国データバンクにおいて、倒産を扱う情報部で25年間企業取材を行った経験の持ち主です。その経験から、企業がどのような原因から倒産に至ったのか、また、そのサインはどのようなところにあるのかを、豊富な実例に基づき説明しています。様々な実例を読むと、野村克也氏の「負けに不思議の負けなし」という言葉が思い出されます。

企業経営を行う上での有益なヒントが満載なのは当然ですが、この本はそれにとどまらず、例えば、普段の自分の仕事を失敗させない(成功させる)といったような身近なことを行うに当たっての気を付けるべき心構えを示した本として読むことができます。

たとえば、こんなのがあります。

特定の取引先に過度に依存したことが倒産の一因となった事例

 → 特定のメンバー、情報に依存しすぎてはいけないという教訓

事業に関係のない人物が経営に関与している会社は疑うべきという事例

 →あれっと感じる違和感を大事にしなくてはいけないという教訓

商号、住所、代表が不自然に頻繁に変更されていないか登記簿を確認する、一度会社を直接訪問して不自然な点がないか確認するのが与信管理の基本であるという事例

 →何事も基本が大事であるという教訓

本業が順調なのに財テクにのめりこみ倒産してしまった事例

 →浮利を追わずという教訓、あるいは、基本が大事という教訓とも言えます

このヤマさえ乗り越えれば大丈夫と思っていたらうまくいかなかった事例

 →過度なリスクを負ってはいけないという教訓、人生にはまさかという坂があるという言葉が思い出されます

また、調査のプロとしての藤森氏の実力が感じられる記述としては、官公庁の公表データやリポートをしっかり読むと気づきにくい変化に気づくことができる、というものがあります。ふつう、官公庁のレポートなど当たり前のことしか書いていないつまらないものというイメージを覆してくれます。さすが、調査のプロの着眼点は尋常ではありません。

【書籍データ】

「あの会社はこうして潰れた」

著書:帝国データバンク情報部 藤森徹

日経プレミアシリーズ337

2017年4月10日一刷

2017年7月6日八刷