「テレビじゃ言えない」ビートたけし
日本人なら知らない人はいないと自信を持って言える数少ない芸能人の1人です。たけし氏ほどの大物ならテレビでも言いたい放題だろう、と思いきや、この本を出したということはそうでもなく、自制しているところがあるということで、タイトルから、その意外感が伝わってきます。
内容は、暴論、下ネタなど何でもあり、「単なるバカ話」としつつも、その笑いの中にも、世の中の常識が本当に正しいのかと疑問をもつヒントがあるのでは、とたけし氏は述べています。そんなたけし節のターゲットになってしまうと、こんな疑惑のまなざしを持ってしまいます。
一億総活躍社会って庶民にいいことがあるのか?
テレビは「真実を伝えるメディア」か?
「ネットで調べれば何でもわかる」は本当か?
少年法で18歳未満を保護していることに少年は反発すべきではないか?
法案成立日の国会前での反対デモに意味はあるのか?
舛添に怒って角栄に心酔するニッポン人は「権力者が扱いやすい庶民」ではないのか?
私など、見事に常識に囚われまくっている庶民の典型で、恥ずかしい限り(笑)。
一方、疑惑のまなざしだけでなく、こういった鋭い(あるいは斜めに構えた)視線から、世の中の話題のニュースを毒舌分析しています。いろんなことを分析していますが、私が思わず唸ってしまったのは、これです。
神戸連続児童殺傷事件を起こした少年Aが本を出版したりホームページを開設しているけど、なぜこれがダメなのか?
老人の危険運転を防ぐ対策は、免許返納以外にあるのか?
「笑点」を本気で面白いと思っている人はなぜナメられていると言えるのか?
乙武氏の不倫問題での本当の差別とは何か?
ASKAが本気でシャブをやめることのできる方法は?
「賞味期限」、「エコ」は本当は何のためにあるのか?
「アイス・バケツ・チャレンジ」はなぜくだらないのか?
1つでも気になってしまった方、一読の価値アリです。分析結果に賛成はできなくても、ちょっと変わった見方ということで、雑談のネタになることは間違いなしです。
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「テレビじゃ言えない」小学館新書
2017年2月初版第1刷発行
著者 ビートたけし
発行所 株式会社小学館