日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

「100円ショップの会計学」増田茂行

タイトルからすると、100円ショップの安さの秘密を教えてくれる本というイメージです。それはそのとおりで、「基本は、大量生産・大量販売」という説明がはじめにでてきます。そんなの言われなくても分かっているよ、と思わずつぶやいてしまいますが、もちろん、それだけではありません。例えば、100円ショップなのになぜ200円、300円という100円より高い商品が多いのか、100円ショップの品揃えや店舗が年々充実しているのはなぜか、100円ショップがショッピングモールなどに出展するのはなぜか、といった観点からも100円ショップの秘密を教えてくれます。ぜんぶ知っているという方は、業界関係者をのぞけばなかなかいないのではないでしょうか。

100円ショップ以外の業態についても解説しています。立ち食いそば屋、バイキングレストランの解説もおもしろいですが、とくにおもしろかったのは、高級バーと立ち飲み屋の比較ですね。同じ飲食店でも業態、客層は正反対なのは明らかですが、この両者を、資金繰りという観点から比較しているのは、経理・税務の専門家である筆者の面目躍如といったところでしょう。

正社員の人件費は固定費、アルバイトの人件費は変動費ですが、同額の売上額である一方、正社員とアルバイトの構成比が異なる2つの企業が、売上げ低下時にどちらが利益を出せるか、という比較をしています。もちろんアルバイトの構成比が高い企業の方が利益を出しやすいのですが、でも、売上げ低下に対する対策をどう講じるかということも考えれば、正社員の構成比が高い企業の方が効果的に対応できるという考え方もあります。筆者自身は明確に述べていますが、会計的な見方がビジネスに対する評価のすべてではありません。したがって、アルバイトの比率の高い企業が優れていると筆者は述べていませんが、言い換えれば、正社員の比率が高いにもかかわらずアルバイトの比率の高い企業と同程度売上げが落ちている企業は、正社員という人材を人件費に見合う程度に使いこなせていない企業という評価はできます。

先ほど紹介したとおり筆者は会計上の見方にすぎないと留保していますが、そこから、企業の人材の使い方をも垣間見ることができるとも言え、会計の分析ツールとしての高さを感じます。

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「100円ショップの会計学ー決算書で読む「儲け」のからくりー」祥伝社新書130

著者 増田茂行

2008年11月初版第1刷発行

発行所 祥伝社