日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

副業をしようと思ったときに読む本

「会社にいながら年収3000万を実現するー「10万円起業」で金持ちになる方法」和田秀樹祥伝社黄金文庫、平成18年3月初版第1刷発行、平成20年8月第2冊発行

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この本のプロフィールによると、和田氏は、大学在学中からベンチャー企業家として活躍していたそうです。最初は、医者の和田氏がなぜ起業の話を書くのだろう?と不思議に思いましたが、そういう経験の持ち主なら納得です。

何らかのタネをまき、何らかの行動を起こせば、いつか何かが当たるかもしれないというのが現代社会だし、会社勤めの人間の副業も、以前と比べればはるかに許されるようになってきている。だからこそ、会社に居続けることによって、生活と起業の資金を維持し、小さなお金で起業に挑戦するチャンスなのだ。会社を辞めて、借金してまで起業して、一発勝負をするのは愚の骨頂である。一発勝負が当たるほど、世の中は甘くない。逆に「会社にいるからこそ」、成功の芽は、より見つけやすくなるのだ(5ページ)

日本全体が、「不景気だから」という、あらかじめ用意された言い訳を受け入れてはいないだろうか。しかし「不景気だから仕方がない」、「どうせダメだろう」と下を向いてしまうのは間違いだ。不景気を逆手にとって儲けている人がいることを理解していただきたい。それができないのは知恵が足りないのだ。その意味で、本当に世の中は「捨てる神あれば拾う神あり」という、ことわざ通りなのである(21ページ)

 和田氏からの、強い応援メッセージであり、同時に、きわめて現実的な、堅実なアドバイスです。この種類の本で、やればできる的な応援メッセージは溢れていますが、会社を辞めずにやれというような内容は少ないと思います。

ナンは世界で一番安くできるパンらしいのだ・・・それでいて、ナンでカレーを食べさせる店は、本格的ということで普通のカレー店より高く取れる・・・インド人を使うことで、人件費を抑えているのである。ところが、これまでインド人を雇っているような店は高級店で高かったものだから、これまた世間はそのイメージで見てくれるわけだ。ただやみくもに値下げ競争に走るのではなく、安くするなら安くするで、頭を使えということだ。単純に安い食事を提供するだけではなく、原価を下げる方法や、価格が下がっても高級に見せる方法を考えたりして、今の時代にもしっかりと利益を上げている人が大勢いるのである・・・讃岐うどんなら、ラーメンと比べるとずっと簡単だろう。ダシはほぼ決まっているし、あとはうどんの麺と茹で加減だけの問題だから、麺の仕入れ先と茹で時間だけをマニュアル化しておけば、奥さんにやらせることもできるだろう・・・知恵は、できない理由を考えてアイデアを潰すためにあるのではなく、実現の障害になりそうな問題を解決するために使うのである(24~25ページ)

最後の一文は、短い文章でありながら、的確に知恵の使い方を表現しています。さらに、実際の具体例が紹介されているので、とても説得的です。

昭和四〇年代、若くして社長に就任した伊藤淳二さんという人が、当時としては画期的な改革をした。四〇歳昇給停止である・・・父がカネボウでもらってくる給料に頼っていた私の家は、大変なことになった・・・中学生だった私にも、会社というのは基本的に人を守ってくれるものではない、と痛いほどわかった・・・私も弟も、サラリーマンになる気などさらさらなかった。会社というものを信用していなかったし、何か資格を取って、自分でできる仕事に就くのが当然のように思っていた(52~53ページ)

正社員は安泰みたいなイメージを持っている人には、目が覚めるような話です。

本を出したことで実感したことがあった。多少売れても、著者は儲からないのだ・・・本を出すことでは儲からないのだが、そこに付随するものを見つけることが重要なのだ。本を出すことは自分の考えを世に問うことだから、それがヒットしたときには、周囲に売れる要素が必ずある。それが「受験は要領」以下の受験技術の本に対する通信教育であり、今なら「大人のための勉強法」が売れて、転職予備校や大人の能力開発を始めたことに当たる。一流のセールスマンは、お客に気に入られたら、本来自分が扱っている商品以外のものも上手に売る・・・自分で売るにせよ誰かを紹介してマージンを取るにせよ、ひとつの商品を足がかりに、次々と売っていくのだ(79~80ページ)

経験者でなければ、なかなか気づかないことですね。

今、軌道に乗っていなかったり、儲かっていない商売なら、苦しくても手を抜かないことがなおさら大切だ。もちろん、可能性のないところでも精神論や根性論で頑張れという意味ではない。儲からないからと放ってある商売も、改良できる点は改良する。時間や金が過大な投資にならない範囲でできることが、必ずあるはずだ・・・売上が期待したほど伸びなかったとき、原価を下げて無理やり利益を出そうとするよりも、毎週、毎週手を変え品を変え、いろいろなレシピで出していたら、ポンと当たる日が来るかもしれない(89ページ)

最初の一文は、誰でも言うことですし、普通のことです。和田氏が言うとおり、精神論みたいにも聞こえてしまいますが、どこが精神論とは違うのか、分かりやすく説明してくれています。

年中長蛇の列ができる繁盛店なら、プレミアムチケット制もあり得るのではないかと思ったのだ・・・日ごろ銀座の「福臨門酒家」で五万円の高級広東料理を食べている人には、本当においしいラーメンなら、「並ばなくていいチケット」を5000円で買ってもいいという感覚になることもあると思う。少なくとも私ならそれを買う(97ページ)

おもしろいアイデアです。普通はなかなか思いつきません。待たせている人に何かサービスをするかどうか、というのが普通の発想なような気がします。

往々にしてグルメガイドは、「これがおいしい」と、いきなり結果だけが示されるから、信頼していいかどうかがわかりにくいのだ。基準を明確にすれば、ひとつの新しい情報になる(118ページ)

グルメガイドだけでなく、他にもいろいろ応用できそうな話です。

デフレでも値段の下がっていないものはないか、と周囲を見渡してみれば、意外なヒントも見つかりそうである。いずれにしても肝心なのは小資本で始めることだ。そうすれば何回も「失敗」ができる。つまり再挑戦のチャンスがある(129ページ)

鋭い視点ですね。値下げの激しい業界では、とうぜん利益も減ってしまいます。せっかく知恵を出しても、出しがいがありません。

「いろいろ試してみる」といっても、何を試すのか、その中身が問われることはいうまでもない。発想の段階では、実行に移すことの一〇倍くらい、アイデアを出してみることが大切だ(154ページ)

量が質をカバーする、ということでしょうか?実体験からもうなずける話です。

株を買ったことのある人は、よくご存じだろう。一点買いをしない、思い込み過ぎないなど、株の取引も「理系の発想」をしていれば、そうそう大きな損はしない。ところが「この会社の商品が好きだから」と一社の株だけ大量に買って、下がっても「絶対に復活するんだ」と根拠もなく思い込んで、絶対売らないという人は、どういうわけか自他ともに認める文系の人間に多い・・・今、自分でビジネスを始めようとするなら理系の発想が重要になる(158ページ)

たしかに、自分のアイデアに思い入れがあると文系の発想をしてしまいそうです。先ほどの10倍ぐらいアイデアを出すという話とつながっている話だと思います。

人間は、男女に関係なく「使われっぱなし」、「利用しっぱなし」だと、遠からず逃げていくものだ。お互いにギブ・アンド・テイクの関係が成立していないかぎり、最終的には離れていく(214ページ)

私は、切る必要のない人間関係は、あえて切らなくてもいいと思っている。どんなにうさんくさそうな山師であっても、人間関係を絶たなければいけなくなったときに、初めて切ればいいだけの話である。怪しい人物も遠ざけないでおくと、いつか何かで役に立つこともある。懐の深さがチャンスにつながるという発想だ(223ページ)

ビジネスに良好な人間関係が不可欠ですが、このことは、ビジネスの基本ということですね。