日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

お酒は飲みたいけど痛風が怖いと思っている方に読んで頂きたいおすすめの本

「ビールを飲んで痛風を治す!」田代眞一、角川ONEテーマ21、2008年5月初版発行

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痛風というと、文字通り風が吹いても痛いぐらい激痛を伴う病気と言われ、一度なってしまうと治すことができない、一生薬を飲まなければいけないなど、酒飲みにとってはとてもやっかいな病気の一つというイメージです。しかし、この本は、ビールで痛風を治すという、常識的にはあり得ないことがタイトルとなっており、しかも、この本を書いた田代氏は、医療のシロウトではなく昭和薬科大学教授という専門家なわけですから、さらに驚いてしまいます。

私は、とにかく水分を補給して、余分な尿酸と析出した針状の尿酸結晶を薄め、溶かし、尿と一緒に出して、体を洗ってしまうのが、いちばんの治療と考えたのです(18ページ)

大量に水分をとるといっても、水では、すぐにおなかがガボガボになってしまい、そうそうたくさん飲めないが、ビールならいくらでも飲める。ビールでやってみよう(20ページ)

確かにビールにはほかのアルコール飲料に比べると、プリン体が多く含まれています。しかし、ビールには利尿作用があります。どんどん飲んで、どんどん出せばビールに含まれるプリン体は、それほど問題ではないといのが私の考え方でした(21ページ)

病院の勤務が終わると、タクシーでビアホールに寄ってビールを飲んでは、トイレに行き、またビールを飲んでといった具合で、3-5L飲んで、おしっことして出してから家路につきました(中略)この試みは見事に成功し、痛風発作を起こしてから4日目には、痛みは完全に治まっていました。普通、どれだけ薬を飲んでも、4日で痛風の症状が治まるということは、まず考えられません(21~22ページ)

 田代氏は、自身も痛風になってしまい、その経験から、ビールにより痛風を治すということを思いついています。酒飲みである田代氏でなければ思いつかなかった方法といえます。下痢みたいなときにおなかをアルコールで消毒するといって酒を飲めばいいみたいなことが言われることがあり、一見、このビールの話も同種の話に見えてしまいますが、専門家である田代氏がこのように具体的な根拠をもって述べると、とっても安心します。

私自身、ビールだけで痛風を治そうとは考えていません(22ページ)

ここは大事な点ですね。田代氏は明確に釘を指しています。

定期的に血液検査をうけて、自分の尿酸値を把握することです。自分の飲み方が、自分の体にどういう影響を与えているかということはいつも知っておいたほうがいいと思います(中略)私は、尿酸値という客観的な値を把握しないまま、ただアルコールを怖がったり、逆に一切適量を考えずにむちゃくちゃに飲んだりすることが問題だと思います。自分には、どのぐらいの代謝能や排泄能があるのかを知って、自分なりの適量を探してもらえばいいと思います(45~46ページ)

アルコールとの上手な付き合い方を探す必要があるということでしょう。

つまみには、ビールと比べものにならないくらいのプリン体が含まれていることがあります。そこが問題なのです。つまみを上手に摂るということを実行せずにビールを飲んでいたのでは、再び痛風発作に襲われるのは当然の成り行きです(48ページ)

プリン体といえばビールと思い込んでいましたが、つまみの方が危ないことがあるというのは知りませんでした。正確な知識を持つことが痛風の予防には重要ですね。

プリン体が分解してできる尿酸は老廃物として対外へ、つまり尿の中へ排泄されるべき物資なのです(60ページ)

尿酸は水に溶けるのですが、決して溶けやすい物資でもないので、尿酸値が上昇すると、血液中に溶けきれなくなった尿酸は析出して針状の尿酸結晶になります。これが関節に蓄積されることで炎症を起こし、あの激痛が襲ってくるのです(64~65ページ)

 なぜアルコールが痛みにつながるのか、いままでぜんぜんイメージできませんでしたが、この説明でよくわかりました。アルコールが肝臓を悪化させるという流れに比べて、痛風はちょっと分かりにくいところがあります。

痛風発作の痛みは一様ではなく、3種類くらいに分けられるのではないかと感じています。ひとつは、「チリチリチリチリ」といった、皮膚の表面をネズミからアリのようなものに齧られているような独特の痛みです。この痛みは、今までに経験したどの痛みとも違う、言ってみれば「未知の痛み」といっていいかもしれません。そして、チリチリした痛みは痛風発作が起きてから治るまで、ずっと継続的に続きます。ふたつめが、「ズキン、ズキン、ズキン」という、患部の血管に血液が流れるときの拍動の痛みがあります。最後の痛みは「ズッキッ」とくる痛みです。例えば、寝返りをうったときに、患部が何かに触ってしまったとか、患者の足の指が何かの拍子に急に曲がって、そこに強い力がかかったような強烈な痛みです。この痛みのときには、思わず「ギャー」という悲鳴が出てしまいそうになります(115~116ページ)

田代氏によると、尿酸結晶が足の親指の関節に溜まるとなぜ強烈な痛みになるのか、メカニズムははっきりとは解明されていないそうです(115ページ)。しかし、どういう痛みが痛風の症状なのかを知っておくことは、とても重要です。ふつう痛風の痛みというと3番目の痛みをイメージしますが、それだけではない、ということがわかります。

普段から、水分補給をこまめにして、1日の尿量を2L以上にする必要があります。尿量が増えれば、血液や尿中に尿酸が溶けやすくなりますし、より多くの尿酸を体外に排泄することができて、尿酸値の上昇を防ぐことにつながります。体外に出てく水分は尿だけではありません。汗や便からも体内の水分は失われるわけですから、1日に2Lのおしっこをするということは、それ以上に水分を補給する必要があります。特に、夏場やスポーツをしたとき、サウナに入ったときには、汗として相当量の水分が体外に排出されて、体内の水分量が減少し、血液や尿が濃くなって尿酸が析出しやすくなります(中略)忙しかったり、すぐに水分補給ができない場所にいたりして喉の渇きを覚えたときには、すでに脱水状態にあるといわれます(196~197ページ)

自宅や職場ですぐに水分補給できるように、ミネラルウォーターやお茶のペットボトルは不可欠ですね。よく運動をしてアルコールを体から抜くということが言われます。それ自体はいいことなのかもしれませんが、痛風は尿酸の問題なのでそれとは別の話ということのようです。体にいいはずの運動が逆に痛風のリスクを高めるというのは怖い話です。無自覚にリスクを高めているわけですから。

医師は、「こまめな水分補給をしてください」といいます。目安としては、「1日の尿量が2000ml以上になるように」と指示します(153ページ)

尿酸排泄促進薬を服用している方は、血液や尿が賛成に傾かないようにするために、医師が処方してくれるクエン酸カリウムクエン酸ナトリウム(商品名「ウラリット」など)を必ず飲むようにしてください(155ページ)

これは、医師から薬を処方されているときの話なので、いつも関係する話ではありませんが、最低1日2Lおしっこするということがとても大事ということがわかります。 

プリン体の語源は、「pure(基)」と「urine(尿)」が合わさったもので「尿の中の基本的物資」ということです。お菓子のほうは正式には「pudding」ですから、プリン体とは全く関係ありません(60ページ)

プリン体と聞いてお菓子のプリンをついついイメージしてしまっていた私にとっては、勉強になりました。これも正確な知識の一つですね。