日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

プレゼンを上手に、うまくやりたい、と思っているすべての方に読んで頂きたい本

「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール(著者:藤沢晃治講談社ブルーバックス、2002年10月第1刷発行、2012年6月第27刷発行

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ちゃんと説明したのになぜ分かってくれないのだろう?とストレスを感じることはよくあります。おそらく誰もが感じたことのあるストレスではないでしょうか?しかし、この「ちゃんと説明した」というところがちょっと問題です。なにをもって「ちゃんと説明した?」と言えるのか?という話です。

 

説明とは「情報をただ与えること」で足りると誤解しています。分かりにくいと苦情を言っても「さっき、ちゃんと説明したじゃないか」とか「ここにちゃんと書いてあるじゃないか」と「情報をただ与えた」ことを主張するのです(25ページ)

情報をただ与えるだけでよしとするのは、料理の価値は食材だけで決まると考え、料理人の腕を認めないようなものです。そんな人に「料理がまずい」と文句を言っても「よい食材を使っているので、そんなはずはない」と答えるでしょう。どんなによい食材も、調理していなければおいしい料理とはいえません(78ページ)

身に覚えのある話です。自分の説明がこれまで理解してもらえなかったのは、情報をただ与えていたためではないか、という気がしてきました。与えるだけではだめで、与え方が重要で、その具体的な方法が、プレゼンテーションのルールということなのでしょう。藤沢氏の料理にたとえたたとえ話はとてもわかりやすいです。さすがプレゼンテーションのプロです。それでは、さっそく内容にはいりましょう。

 

藤沢氏はこの本で15のルールを説明していますが、その前に、そもそも「分かる」とはどういうことなのか、ということを説明しています。そして、具体的には、外から入った情報が「脳内関所」を通過して仕分けられるのですが、このとき、仕分け作業が適切に行なわれることを「分かる」と定義しています。そうすると、脳内関所で何をしているのかが問題になりますが、藤沢氏はこのように説明しています。

 

①情報の大きさをチェックし、受け入れるか否かを決める。

②たくさんある脳内整理棚の中から適切な一個を選ぶ。

③情報のムダを省き整理する。

④情報が論理的であるかをチェックする。

⑤情報を入れる脳内整理棚内の最終一区画を決定する。(30ページ)

 

その上で、「分かりやすい説明」をこのように定義しています。

 

「脳内作業で行われるはずの作業を、なるべく事前に代行処理し、脳内関所の作業負担を軽減すること」(35ページ)

 

なるほど。分かりやすい説明とは、聞き手の立場や気持ち立った説明、とも言えそうです。それでは、15のルールにいきます。15のルールをならべると、こうなります。

 

説明術1 聞き手とのタイムラグを知れ

説明術2 要点を先に言え

説明術3 しみ入るように話せ

説明術4 抽象的説明と具体的説明のバランスを取れ

説明術5 説明もれを防げ

説明術6 情報構造を浮かび上がらせろ

説明術7 キーワードを使え

説明術8 論理的に話せ

説明術9 比喩を使え

説明術10 聞き手の注意を操作せよ

説明術11 引率せよ

説明術12 「繰り返しの劣化」に注意せよ

説明術13 持ち時間を守れ

説明術14 聞き手に合わせた説明をせよ

説明術15 聞き手を逃すな (目次から抜粋)

 

こんなにあるの!っておどろく方もいるかもしれません。ご安心ください。藤沢氏はとても親切な方で、こう言っています。

 

「はじめに」で書いた「80対20」のビジネス法則のとおり、この「説明術・基礎編」を完全にマスターするだけで、あなたの説明は飛躍的に分かりやすくなるはずです(38ページ)

 

「説明術・基礎編」とは、説明術1~7のことです。つまり、15のルールのうち7つのルールをマスターするだけで、飛躍的に説明が分かりやすくなるんです。7つと聞くと、なんとかなりそうだ、という気がしてきます。

 

 

とはいえ、15のルール、見ただけでなんとなくわかるものもあれば、ちょっと分からない、というのもあると思います。そこで、ちょっと分かりにくい、あるいは、とても重要と思うルールについて、ちょっと詳しくご紹介します。

 

最初は説明術2 要点を先に言え、です。

 

講師のあなたと違って、聴講者はその新しいページを初めて見るのです。その新しいページの構造や意味を理解するためのタイムラグがあるのです(中略)詳細を話し始めるのは、聞き手の脳内整理棚の準備作業が終わったと思える瞬間まで、グッとこらえて待ちましょう(49ページ)

 

いきなり詳細を話しても聞き手には理解できません。全体、概要があって初めて詳細が理解できます。藤沢氏はこのことを「点が線につながる」と表現しています。この線に当たるのが、要点です。

次は、説明術6 情報構造を浮かび上がらせろ、です。情報構造といわれても、ぴんときません。それは具体的には何なのか、何に注意すればよいのか、藤沢氏はその答えのひとつとして、こう述べています。

 

複数解釈を許すな。

 主語がどの動詞に対応するのかを明確にせよ。

 代名詞がどの語を指しているのかを明確にせよ。

 形容詞がどの名詞を修飾しているのかを明確にせよ。

 副詞がどの動詞を修飾しているのかを明確にせよ。(89ページ)

 

とても具体的です。分かりやすい文章とは何かという一つの答えが、クリアーに示されています。情報構造というと、一文一文というよりは、段落であったり、文章全体の話ですが、すべては一文一文で作られています。

さいごは、説明術10 聞き手の注意を操作せよ、です。聞き手の注意を操作なんて、すごい難しい話にきこえます。

 

キーポイントの直前で問いかけることにより、そのキーポイントを強調し、聞き手の注意を引きつけることができます。たとえば本書でも「タイムラグの時間を上手な説明にどう活かせばよいのでしょうか?」というような問いかけを随所で行なっています。このような問いかけによって「次に、この質問の回答として、キーポイントを説明しますよ。聞き逃さないでくださいね」という合図になっています(119ページ)

まとめ言葉とは、「要するに・・・」「何が言いたいのかといいますと・・・」「つまり・・・」「誤解していただきたくないことは・・・」「結局・・・」などの言葉です(中略)聞き手が、意味の解釈に少し迷いがあったとしても、これらのまとめ言葉によって、ピタッと情報の格納先が決まり「なるほど、分かった!」との実感になるのです(122ページ)

 

言われてみれば、たしかに、これまでプレゼンとかを聞いているとき、こういうことを言われたことがあります。あれは、操作されていたんですね(笑)。操作というのはこういうことなんだと分かると、ひょっとしたら自分でもできるかも、という気がしてきます。