日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

まわりの人からなんとなく軽く見られたり、バカにされている気がして、何とかしたいと思っている人に読んで頂きたい本

教養バカ(著者:竹内薫)、SB新書、2017年2月初版第1刷発行、

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 「教養バカ」、一見矛盾している言葉です。「教養」がある人がなぜ「バカ」なんだろう?竹内氏は「教養バカ」をこう定義しています。

 

歴史の年号や公式、豆知識をたくさん知っていることは悪いことではありません、むしろ大切なことです。しかし、ただ覚えているだけでは教養バカになってしまいます(15ページ)

教養バカの悪い点は、相手にかまわず、自分本位で知識をひけらかすこと(17ページ)

 

みなさん、ドキッとしませんでしたか?わたしは身に覚えがあります。でも、ちょっと困惑します。知識を持っているだけではダメ、というのが竹内氏の主張ですが、ではどうすればいいのでしょうか?

 

本書は、これまでの教養本とは、一線を画すものになるでしょう。なぜなら知識を詰め込むのではなく、知識の伝え方をみなさんに伝授することになるからです。「わかりやすさ」を極めることで、あなたの中にも変化が起こるはずです(中略)あなたが、誰から見ても教養のある話し方ができるようになるー。これが本書の最終目標です(22ページ) 

 

知識を持っていることと、話し方つまりその伝え方は別のことであるというのは分かります。たしかに「教養バカ」は存在するようです。知識を増やすだけでも大変なのに、さらにその伝え方までトレーニングしないといけないなんて、大変だなあと思ってしまいますが、竹内氏はこうも言っています。

 

教養を身につけるのは一朝一夕とはいきませんが、話をわかりやすくするのは、コツさえつかめばかんたんです(87~88ページ)

 

うれしい話です。伝え方を工夫すれば、いまわたしが持ってる知識が少なくても、周りからは、教養のある人と見られる、すくなくともバカにはされなくなりそうです。

竹内氏は、話をわかりやすくするための10の技術を紹介しています(2章)。

 

わかりやすさでお馴染みのジャーナリスト池上彰さんは、人に伝えるときに因数分解を活用しているそうです。どんなものでしょうか。

1:伝えたいことを決める

2:その中から共通している内容を探す(←ここが因数分解

3:共通している点から伝える

たとえば、「18歳選挙権」「アメリカの銃社会」「イギリスのEU離脱」について伝えたいとします。この3つから「政策」というキーワードを取り出します。数式でいうと「政策=日本の選挙+アメリカの銃規制+イギリスの外交」というかんじでしょうか(66~67ページ)

 

10の技術の一部です。いろいろ話さないといけないことがあるけど、どういう順番で話したらいいかわからない、ということよくありますが、そのときに池上氏の手法はとても便利です。分かりやすく説明できる人は、説明前にきっとこういう整理をしているのでしょう。ある意味、とくに目新しい手法ではありませんが、しかし、「因数分解」という表現を使うと、手法の内容がさっと理解できます。分かりやすい説明の仕方の説明が分かりやすい(笑)もう1つ紹介します。

 

元NHKアナウンサーで、現在はスピーチ・コンサルタントとして活動されている矢野香さんは、著書『NHK式+心理学 一分で一生の信頼を勝ち取る法』の中で、「NHKは1分間300文字が、相手に一番伝わりやすい理想の速度としている」と書いています。これはアナウンサーだけでなく、原稿を書く記者も、映像をつなぐディレクターも共通認識として持っているそうです(78ページ)

 

これは話し方についての技術です。先ほどのは話す内容についての技術ですので、ちょっと角度が違います。それにしても、どちらもテクニックの持ち主はNHK出身者です(池上氏はNHKで記者として働いていました)。NHK恐るべし!最後にこれを紹介します。

 

いわゆるカンペは、自分しか見ないものなので書き方も人それぞれです(中略)文字で書いてしまうといざというとき、参照しづらいですし、なにより話が棒読みになりがち。私がオススメのカンペは、「絵」(中略)絵の利点は、いくつかの方向に動けること。生放送は時間との戦いもあるので、その場でコメントの選択など臨機応変に対応する必要があります。これが、一字一句書いたカンペだと、そうはいきません(83~84ページ)

 

生放送のラジオに出演しニュースにコメントする竹内氏は、「絵」をカンペとして活用しています。わたしがテレビやラジオに出演することはありえません。しかし、仕事で誰かに何かについて説明することはあり、事前に準備していたときは予想もしなかった質問が聞き手からなされるということは十分考えられます。そのときに竹内氏の述べるテクニックが役立ちます。ただ、わたしは絵を描く才能がまったくありませんので、絵の代わりに、キーワードをならべた「図」でやってみようと思います。

 

10の技術に続いて、教養バカの7つのタイプを紹介しています(3章)。わたしがこのタイプだったらと思うと真っ青になりますが、一方で、こんな人たしかにいるなあ、という共感が笑いになる、とてもおもしろい内容です。ちょっと意外だったタイプを紹介します。

 

全くよどみがなく、流暢な話し方の人がいます。すごいなぁと感心する一方で、聞き終わった後に「あれ、なんの話だったっけ?」と話の内容が何も残っていなかったということはありませんか。実は、これには理由があります。よどみがないということは、伝える側が気持ちよい自分本位のテンポで話が展開されているということ。この気持ちよいテンポというのが曲者で、いわゆる「間」がないのです。聞き手側にとって「間」というのはとても大切。「間」があることで、聞き手は頭の中で聞いたことを整理したり、考えたりします(中略)よどみなく話す人は、わずかな時間も与えてくれないので、聞き手側は話を整理できないまま終わり、「あれ?なんだっけ?」となってしまうのです(102ページ)

 

流暢に話す人をみると、あんな風に話したいと思うことが多いでしょう。しかし、聞き手には伝わっていないとすれば、自分が話す内容のことにしか意識がいっていないということですので、「自分本位」としか言いようがありません。つづいて、4章では、語彙力が「わかりやすさ」にとって大切であると竹内氏は述べています。語彙力が人によって大きく違う、差があるということを端的に竹内氏は言っています。

 

以前に話題になったツイートがあります。シナリオライターの加神サキさんの「さらに語彙力のないわたし」というツイートです。図にある「語彙力のあるフォロワーさん」が使う言葉は29種類、それに対して「語彙力のない腐女子のわたし」が使う言葉数は7つ。そして、すべてを飲み込む「わかる」の一言。これが、語彙力が豊富だと表現がより決め細やかになります。「かわいい」という言葉も、「可愛らしい」「愛くるしい」「チャーミング」「甘美」「奇麗」「可憐」と違う表現ができます。「かわいい」に包含されている「チャーミング」と「可憐」ですが、チャーミングは動きのあるかわいさ、可憐は静かなかわいさを感じさせます(108ページ)

 

みなさんが使う言葉は何種類でしたか?わたしは5種類ぐらいでした。語彙力がないことがわかりショックを受けているわたしなどのような人のために、竹内氏は語彙力をつけるための7つの方法を紹介しています。わたしでもできそうで、しかもすぐに実行できそうな方法がありました。1つ目は「類語辞典を読む」(122ページ)です。

 

たとえば「ヤバイ 類語」で検索すると、weblio類語辞典が出てきます。そこには、

大変、一大事、ヤベエ、危ぶまれる、危惧される、思わしくない、具合が悪い、よろしくない、このましくない、不都合のある、支障がある、始末の悪い

などが出ています(122ページ)

 

「ヤバイ」の類語がこんなにたくさんあるとは知りませんでした。類語をどれだけ知っているかは、語彙力の差にストレートに反映します。

もう1つの方法は、「オノマトペを使う」(123ページ)です。オノマトペとは、

 

「ワンワン」「キラキラ」「ザーザー」「スベスベ」「ムカムカ」「シーン」「ポン」物事の音や様子、動作、感情などを表す擬声語・擬態語(123ページ)

 

のことです。

 

竹内氏がこの本で紹介している技術や方法はどれも、それを実行することは難しくありません。「教養のある人」になるなんてとても無理と思ってしまいますが、竹内氏が紹介する技術や方法を身に付けて「教養があると周りから見られる人」になることは、それに比べればかなりできそうな気がします。竹内氏の本で周りを見返してやりましょう!