日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

公務員の人もそうでない人も40歳を超えたら認知症について(すこしは)まじめに考えた方がいいなあと思わせる本

公務員はなぜ認知症になりやすいのか(著者:長谷川嘉哉)、幻冬舎新書、2013年9月第一刷発行、

ーーーーーーーーーーーーーーー

 「認知症」という病気は誰でも知っています。では、どのぐらいの確率でかかってしまうのでしょうか?

 

2013年6月、厚生労働省の研究班は、2012年時点で、認知症高齢者は推計で462万人という調査結果を発表しました。これは、65歳以上の高齢者の約15パーセントにあたります。85年の調査では、有病率は6.3パーセントでしたので、2倍以上の増加です。またこの調査では初めて、認知機能の低下は見られるが日常生活は送れる、いわゆる「予備軍」が400万人という結果も発表されました。適切な対応がなされないと、5年後にはこのうちの半数が認知症に進む可能性があると指摘されています(3ページ)

 

15パーセントという数字が高いか低いか微妙なとことですが、1985年よりも2倍以上に増加したというのはちょっとショックです。いまは2018年ですが、さらに上昇しているかもしれません。では、認知症とはどういう症状なのでしょうか?

 

以下は、認知症の患者さんの家族が、「後で振り返ったらこれが初期症状だった」としてよく挙げる例です。

①同じことを何度も話す、聞く、行う。

②ものや人の名前が出なくなる。

③置き忘れやしまい忘れが目立つようになる。

④時間や場所の感覚が不確かになる。

⑤病院で出された薬の管理ができなくなる。

⑥以前はあった関心や興味が失われる。(20~21ページ)

 

 

やはり「もの忘れ」は認知症の初期症状なのですね。ちょっと身に覚えがあります。忘れると一口に言っても男女で違いがあるようです。

 

認知症になって旦那さんを忘れる女性」「認知症になっても奥さんを忘れない男性」という事実は、認知症介護の現場ではよく見られます(30ページ)

 

女は冷たいというか何ていうか・・・(笑)。長谷川氏によると夫婦関係のあり方が原因だそうで、冷たいとかそういう話ではないようです。

認知症の人が身近にいるとき、どう接したらいいのか?とても周囲は悩みます。

 

徘徊は、周囲の人には、ただ歩き回っているだけのように見えますが、本人にはきちんとした理由や目的があります(中略)徘徊の理由はそれぞれ異なります。ただ理由は何であれ、本人としては非常に合理的な判断をして、外を歩き回っているということを知っておくといいと思います(34~35ページ)

「お前は俺の嫁のような顔をしているけれど、嫁じゃない」などと言い、家族内のトラブルになるケースが多くあります。私がその解決策に苦慮していたところ、岩田誠先生という著名な専門医が「出直し」という方法を教えてくださいました。方法は至ってシンプルで、「お前は俺の嫁じゃない」と言われたら、奥さんは「わかりました、帰ります」と言って一度うちを出て、すぐに違う入り口から「ただいま」と帰ってくればいいのです。すると、不思議なことに患者さんは「お帰り」と、簡単に納得してくれます(44~45ページ)

 

周りから見るとへんな言動であっても、認知症の人本人にとっては、じゅうぶん理由のある言動ということですね。まわりはそれを尊重しないといけないのでしょう。認知症ではない人同士では、違う意見や行動があってもおたがい尊重するのですが、それを認知症の人との間でもするということでしょう。このことを詳しく説明している本があります。興味のある方は読んでみてください。

 

mogumogupakupaku1111.hatenablog.com

 

そうはいっても、自分自身あるいは家族などが認知症になってしまうと聞くと、そうとうなショックを受けるのがふつうです。しかし、長谷川氏はこう言います。

 

重度と伝えられると、もちろん家族は最初はショックを受けます。しかし説明していくうちに、「やっぱりそうだったのか」と納得し、肝がすわっていく人がほとんどです。現状と今後の見通しを伝えた上で、私はさらに以下の三つについてお話します。

①これから行う治療の内容や、周辺症状のコントロールについて。

②介護の内容について。現在の介護サービスでいいのか、在宅介護が可能か否か。

③青年後見人をつける必要性について(第5章参照)

説明がここまで進むと、家族の気持はとても軽くなります(67ページ)

 

長谷川氏が主治医になってくれればとても安心です(笑)。でも、長谷川氏は岐阜の先生ですので、誰でも受診できるわけではありません。長谷川氏は医者探しの方法も教えてくれます。

 

認知症をきちんと診てもらう医師を探すならば、地域のケアマネジャーに尋ねるのも有効な手段です(中略)在宅医療を積極的に行っている医師などは、認知症を含めた高齢者医療について一定の理解をもっていますので、選択する際の一つの基準になります。また、製薬メーカーも全国の専門医を把握しています。ホームページなどに専門医を掲載していることがありますので、参考にしてみるといいでしょう(69ページ)

 

さらに長谷川氏はこう述べています。

 

認知症になったときに非常に重要なのは、自宅で介護を受けるか施設に入所するかを、選択できる自由があることです。要は、お金があれば、施設入所の選択肢が広がるということです。正直に言えば、介護に関連する問題の90%はお金で解決します。在宅にせよ施設に入るにせよ、地方であれば、月20万円程度が支払えれば、手厚い介護のもとで暮らしていけるでしょう(162ページ)

 

長谷川先生、正直すぎです(笑)さいごにタイトルの話に戻ります。なぜ「公務員」が認知症になりやすいのか?

 

人間の脳は最初は刺激として感じていても、それが同じレベルで続くと刺激として認識しなくなります。つねに新しい知識を吸収して外に発信していかないかぎり、頭を使っていることになりません(中略)公務員が狭い価値観だけで仕事をすること、教員が変化のない授業を続けること、会社役員が広い視野に立った思考・行動をとらないことは、脳の働きからいっても認知症の危険因子となります。もちろんこれは、決まった仕事をこないているだけの会社員にとっても言えることです(63~64ページ)

 

いつも同じ(ような)ことばかりしている(ことしかしない)と、認知症になりやすということです。とはいえ、仕事柄、そうせざるを得ないという人や、じっさいにいま自分のしている仕事が決まったことをするだけの仕事なのかどうかわからないという人もいると思います。このブログを読んでいる読者の中にもそういう人がいるでしょう。そんな方にうれしい話です。

 

日記やブログなどを書くのでもかまいません。第3章で述べた回想の効果があるばかりでなく、書くことは優れたアウトプットです。高齢者だけではなく、40歳代、50歳代の人もぜひ実行して欲しいと思います(117ページ)

 

ブログを書くことが認知症の予防につながるのです。そう聞くと、アクセス数が少なくてがっくりくることもあるけど、ブログを続けようという意欲がわいてきます。新年早々にとてもうれしい話を聞くことができました。