イチロー選手を通して、世の中でどうすれば成功できるかを、知ることのできる本
はたしてイチローは本当に「一流」なのか(著者:江尻良文)、双葉新書、2011年4月第1刷発行、
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「何を言っているのか?」というのが、タイトルを読んだときにさいしょに思ったことです、メジャーリーグで大活躍するイチロー選手が一流でなかったら、誰が一流なのだろう、という感じです。
ところが、本を読み進めていくと、イチロー選手のどこがどう一流なのか?ということが、意外と分かっていないことに気付かされます。
たとえば、イチロー選手のメジャーリーガーとしての評価は、アメリカと日本とではだいぶ違うようです。
王貞治氏がWBC日本代表チームの監督をしたときにイチロー選手がチームのため日の丸のために大活躍し、それをきっかけに、熱い男というイメージが定着していますが、それを額面どおりに受け取ってよいものかどうか疑問なしではないようです。
また、イチロー選手に限ったことではありませんが、プロ野球選手として成功するには、政治力が求められるようで、イチロー選手はこの政治力にすぐれていて、それが現在の地位を得るために大いに役立っているようです。WBC日本代表が王監督のとき、イチロー選手は日本代表チームに参加しましたが、松井選手は参加を辞退しています。この本では、イチロー選手による松井選手日本代表降ろし疑惑について述べています。あくまでも「疑惑」なので、真相は分かりませんが、「疑惑」ではなく「事実」だとしたら、イチロー選手に対するイメージは180度変わることは間違いないでしょう。
イチロー選手をどう評価するのか、という話とは別に、この本にはとても重要な内容があります。それは、あらゆる世界において、どうすれば自分は成功できるのか、というヒントが含まれています。
自らの商品価値をどうやったら最高のレベルにもっていけるか。それを知っている人間は、いかなる世界でも成功する。仮にイチローがそこまで想定し、松井降ろしを本当に行っていたのだったとしたら、彼はビジネスの世界でもトップに立てる才能の持ち主だろう(48~49ページ)
イチロー選手のやり方の良し悪しは別として、じっさいイチロー選手はプロ野球選手として大成功をおさめています。そんなイチロー選手のやり方から学べることは多くあります。しかもそれは、表面的に知ることのできるイチロー選手の行動、イメージからでは無理で、深層的なところにこそ、学ぶべきところがあります。この本は、従来知られていないイチロー選手の実態を教えてくれる点で、とても学べるところのある本です。