日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

いま様々な問題で揺れている安倍総理にこそ、読んでいただきたい本

安倍官邸「権力」の正体(著者:大下英治)、角川新書、2017年1月初版発行、

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いま、森友問題、加計問題、防衛省の日報問題など、いろんな問題が噴出している安倍政権ですが、意外と(?)政権が倒れる兆しはありません。おそらく、さまざまな問題に対して不満はあるものの、だからといっていまの野党に政権を任せようという気持にはなれず、けっきょく自公政権が続くのであれば、安倍総理のままで良いのでは、という気持があるからかなあとわたしは推測していますが、安倍政権の強さの秘密はなんだろうなと思い、この本を読んでみました。

 

安倍氏は以前一度総理になりますが、短期間で退陣しています(第1次安倍政権:2006年9月~2007年8月)。この本は、そんな安倍氏がなぜ再び総理になれたのかという動きを取り上げていますが、安倍氏を強く支持する政治家が数多くいることがあげられています。そして、その人たちは、いま、安倍内閣の要職を占めています。菅官房長官、萩生田官房副長官、加藤厚生労働大臣、世耕経済産業大臣といった政治家の名前は、ときどき、あるいは頻繁に報道に出てきます。

この本は、安倍氏に好意的な立場で書かれているので、やや割り引いて読まないといけませんが、それにしても、安倍氏の政治家としての魅力は相当なもののようです。いつもなら「お友達内閣」と言われてもおかしくないところですが、一定の実績をあげていることから、そうした批判を蹴飛ばしてしまっています。ただの「お友達」ではなく実力のある「お友達」を起用しているのでしょう。安倍氏が第1次安倍政権の失敗から得た教訓は相当なようです。

政権を投げ出すという大失敗をした人がなぜ再び総理になり長期政権を維持できたのか、総理を辞めた後に、ぜひとも講演して欲しいものです。講演会を開けば、毎回聴衆が殺到すること、間違いなしです。

 

あと、面白いのが、役人を使うのがとても上手という点です。たとえば、2013年、アルジェリアで日本人が人質となる事件があったとき。被害者を日本に帰国させる際に、菅官房長官政府専用機で迎えに行かせようとします。ところが、外務省、防衛省があの手この手の言い訳を考えて反対します。こんなことを言っていたようです。

 

「着陸したことのない滑走路だから、政府専用機では無理です」

「飛行ルートが、ロシア上空にかかわることになります。外務省が、ロシア政府から許可を取るのに1週間ほどかかります」’(171~172ページ)

 

あきらかにめんどくさいから断るための口実にしかすぎませんが、こんなことを役人が政治家に言うということは、これまでこういう口実をならべればなんとかなったのでしょう。しかし、菅官房長官はそういった言い訳を一蹴し、政府専用機による帰国を実現させてしまいます。

 

これは一例ですが、安倍政権の役人の使い方がとても上手なところはよく分かります。それも、安倍政権の強さなのでしょう。菅官房長官は官僚を否定しているわけではありません。

 

その姿を見た菅は、しみじみ思った。〈日本の官僚は優秀だ。本当は、仕事をやるために官僚になった人が多い。それをうまく使ってやれない政治家が多いから、政治家も舐められるんだ。いかに政治家を使うか・・・だな〉(214ページ)

 

一方で、さいきん政権を揺るがしている問題が、財務省の佐川氏、経済産業省藤原氏といった安倍政権の信頼の厚い役人の言動から問題が発生していることからすると、なんとも皮肉です。問題を起こした役人がいるのであれば、すぐに厳正に処分すれば、本来問題は解決です。しかし、菅官房長官の先ほどの思いにあるとおり、役人を自らの政権のイニシアティブで上手に使った結果として生じた問題であるがゆえに、役人との距離が近すぎとなり、問題の役人を強引にかばってしまい、それが政権を揺さぶる問題となり、必要以上の大きな問題となっているように見えます。

 

安倍総理に対抗できる総理候補は、しょうじきいって、与野党とわずいないのが現実だと思います。政界に敵なしですが、むしろ、官界に気をつけることが必要でしょう。安倍政権の今後は、有能な役人に働かせつつ、いかにその暴走を抑えるのか、という点にかかっているような気がします。