ひそかに有名人なりたい願望を持つ多くの人に読んで頂きたい本
「有名人になる」ということ(著者:勝間和代)、ディスカヴァー新書、2012年4月第1刷、同年6月第4刷、
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「有名人」、愛憎相半ばする言葉
「あなたは有名人になりたいですか?」と聞かれ、「はーい、ないたいです。」とすぐに答える人は、ふつういないでしょう(子どもを除けば)。むしろ、「別に。そんなの興味ない。」という反応が普通です。
しかし、本心はどうでしょうか?
本音は「そりゃー、なれるものならなりたいよ。でも、どうすればなれるか分からないし、ふつう無理でしょ。」という思いがあるので、思わず有名人願望を口頭では否定してしまうというところでしょうか。有名人に対するバッシングが激しいのも、この気持ちの裏返しでしょう。
この本は、そんなひそかな有名人願望を持つ多くの人にとって、もちろんわたしもそのひとりですが、有名人になることのプラスマイナス、その上で、それでも有名人になりたい人はどうすれば有名人になれるのか、を有名人である著者の勝間氏が、自分の体験をもとに説明してくれています。
自分で有名人になると決めて意識的に努力して有名人になった
有名人は勝間氏だけではありません。わたしがこの本を読んで勝間氏がすごいなあと思ったのは、当時のいろんな事情に迫られたとは言え、自分で有名人になると決め、そしてそのために何をすべきかを考え実行し現実化した、という点です。
自分にその気はなかったけど周りから言われてそうなった、自分は本当は嫌だっだけど成り行きでそうなった、という受け身的に有名人になった人は多くいます。もちろん、その人も本当はそうではないかもしれず、ただ反発をおそれて自分を低く見せているだけかもしれませんが、そうだとしても、ここまで勝間氏が正直に書いていることはすばらしいと思います。それゆえ、この本に書いてあることは、過大評価も過小評価もない等身大の有名人の話だとわたしは思います。
さまざまなチャレンジは「確率論」
勝間氏の言葉です。成功率が0パーセントの方法でない限り、続けていればいつかは当たるということですし、もうちょっと言い換えれば、特別の才能がないとなれないというものではないということでしょう。もちろん、特別の才能があった方が有名人になりやすいのは間違いありませんが、凡人にはとても大事なことですし、勇気づけられます。
でも、なるべく成功率の高い方法を選ぶべきであり、どんな方法でも良いとまでは、勝間氏は言っていません。自分にとってもそういう方法をどうやって探すのか、勝間氏は探し方を説明してくれています。このあたりの説明は、さすがコンサル出身だなと感じます。
「お金」<「人脈」、「お金」<「影響力」
「有名人になればいっぱいギャラをもらえて一躍大金持ち!」と思いがちですが、勝間氏はそこは否定しています。ふつうの会社員をしているよりは、多くもらえますし、資産も増えるのは間違いありませんが、有名になるが故にコストもかかるので、差し引きすると大したことないようです。ちょっとがっかりという感じもしてしまいますが、でも、それ以外の大きなメリットがあると勝間氏は述べます。
そのメリットは「人脈」、「影響力」です。なんとなく勝間氏の言うことわかります。そこそこお金が得られて、ふつうの会社員よりはお金のある生活ができるとすると、それ以上お金を望んでもそもそもあまり意味がないような気がします。むしろ、お金以外、お金では買えないものが手に入る方のメリットの方が、はるかに満足を与えてくれる気がします。
少しそれますが、この部分を読んでいて、なぜ有名人同士が、ばったり新幹線でぐうぜん出会ったりするのか、理由がわかりました。