日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

これさえわかっていれば人生で失敗することはないという大事なことを教えてくれる本

逃げる力(著者:百田尚樹)、PHP新書、2018年3月第1版第1刷、5月第1版第3刷、

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「逃げる」というと、いぜんはとても良くないイメージの言葉でした。困難や難しいことにぶつかっても逃げずに立ち向かう人、それが、日本人にとっての尊敬できる人のひとつでした。

 

さすがにさいきんは少しずつ変わりつつあります。たとえば、学校でいじめにあってしまった子供に対して、「無理して学校にいかなっくてよい」と言われることが増えていると思います。これは、逃げることを勧めていることになります。

 

しかし、日本人は逃げるのが下手というのは、意外と根深いもので、そう簡単には変わらない行動原理であるようです。たとえば、自分の働いている会社がブラック企業なのでさっさと辞める(逃げる)ことができるか、と考えてみると、できる人もいると思いますが、できない人も多いでしょう。逃げられない人が多いから、ブラック企業が存在するし、社会問題になるわけです。

 

いや、そんなことはない、わたしはちゃんと逃げることができると思っている方、本当に逃げることができるのか、この本を読んでみるとそれがわかります。わたしは、読む前には自分は逃げる力があると思ってましたが、この本を読んでみて実はそうでもないということが分かりました。この本では、こんな人が逃げる力の弱い人とされています。

 

今はうまくいかなくてもそのうち何とかなると思う人

 

この人は、逃げる力の弱い人です。仕事、投資、事業、なんでも一緒です。もちろん、一時的に苦境になるのが始める前から予想していたのであれば話しは別ですが、思ったようにうまくいかないときにそのうち何とかなると思っている人は、キケンです。おおごとにならないうちに逃げるべきでしょう。

この本では、分かりやすい例が紹介されています。強い碁打ちは形勢不利なときはじっと我慢して損失を最小限にし勝負には出ないでチャンスをうかがう一方、弱い碁打ちは形成不利なときに一か八かの大勝負をしてたいてい負けてしまうそうです。また、大東亜戦争のとき日本は約300万人が亡くなりましたが、もし1944年、つまり実際よりも1年早く戦争を終わらしていたら、約200万人が亡くならずにすんだと言われているそうです。

この話し、単に「諦める」とは違います。単に「諦める」のは逃げっぱなし、ここで言う逃げは、次につなげる、次は勝利するために力を温存するための「逃げ」です。

 

自分は責任感が強いので仕事から逃げ出さないと思っている人

 

職場の人に迷惑をかけたくないので、無理してでも自分がかんばるって思っている人、あるいは、それが良いことと思っている人、逃げる力が弱い人です。周りのことを気にしている暇があったら、自分のことを気にしましょう。

この本によると、じつは、このタイプの人の本音は責任感ではなく、単に周りの人に「嫌われたくない」という感情がベースになっていると指摘します。そうだとすると、そういう気持を「責任感」という言葉でごまかしていることになります。ちょっと偽善的です。

 

ほかにもこの本では、いろんなことから「逃げる」ことの大切さを述べています。人の生死に関わるような場合を除けば、最終的に、何からその人が「逃げる」のか、それは人により異なるということになります。だから、会社から逃げないからダメという単純なものではありません。また、百田氏は、何でも逃げていいとまでは言っていません。では、何か逃げて何から逃げないのか、それを各人はどう考えればよいのか、というのが問題になります。

 

自分なりの幸せの絶対的基準を持つ

 

何が自分にとって大事なのか、何が大事ではないのか、ということの基準です。そういわれると「そんなすぱっと割り切れない。家庭も仕事もみんな大事なんだ。」という声が聞こえてきそうですが、その悩み方はちょっと違うと思います。

 

この質問に対して、いまであれば、「自分にとって大事なのは家族である」と答える人が多いたと思います。昔であれば「仕事」という答えが多かったのではないでしょうか。こうすると、昔の人は家族を大事にしていなかったと見えますが、そうではないと思います。「仕事」と答える昔の人は、家族が大事ということは分かっていて、家族を大事にするためには仕事(お金)が必要なので「仕事」と答えるのではないでしょうか。今の人も同じです。家族が大事だからといって、仕事をないがしろにするということはないと思います。家族がちゃんと生活できるだけのお金を手に入れるためには仕事も大事にしないといけません。

 

何か1つを選ぶという話ではないんです

 

この話、目的と手段という言い方もできると思います。つまり、絶対的に大事なもの(=目的)を明確にし、それを達成するためにどうすればよいか(=手段)という関係です。家族と仕事の場合、「自分は家族が大事なので、そのために家族が生活するために必要なお金を仕事で稼ぐ」ということです。

「なーんだ、けっきょくどっちも大事ということでしょ。そんなの当たり前だし、この質問の答えを考えても意味ないのでは?」と思うかもしれませんが、意味は大いにあります。何から逃げるべきかがはっきりします。

 

例えば、自分の働く会社がブラック企業なのに辞められない人は、この目的と手段が見えなくなっている状態です。会社の人に迷惑かけられないから無理してでも働くというのは、仕事の目的である家族の存在は消えてしまってます。もし家族が大事と分かっていれば、「この会社は辞めて他の会社を探す」というふうに判断できます。

 

何から逃げるべきか、これは、人生を左右する大問題です。