日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

「こんな簡単でいいの?」と思ってしまうぐらい分かりやすく哲学を説明してくれる本

世界のエリートが学んでいる教養としての哲学(著者:小川仁志)、PHP文庫、2018年6月第1版第1刷、

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この本が取り上げる「哲学」とは「西洋哲学」のことを基本指します。哲学と言うと、たとえ理屈としては勉強した方が良いと思っていても、「ふだんの生活に役に立つのか分からないのに、なぜあんな難しいことを勉強する必要があるのか?」という疑問をもつ方も多いと思います。

わたしもこの本を読む前にそういう印象を哲学に持っていました。ただ、ものは試しということでこんかいこの本を読んでみましたが、その印象が必ずしも当たっていないああという感想を持ち、新たな発見を得ることができました。 

 

〇 西洋人が何を考えているのかがわかる

 

べつに心理学の話をしているわけではありません。読心術みたいな話しではなく、西洋人のものの考え方のベースとなっているところが何なのか、ということを、この本で知ることができます。

 

この本からわたしが感じた西洋人の考え方のベースは、神と人間はぜんぜん別もので対立関係にあり、その上で、どっちが主役なのかということをめぐって、様々な哲学があり、哲学の発展があるのだなあと感じました。「神との契約」という言葉を聞いたことありませんか?「旧約聖書」、「新約聖書」の「約」とは「契約」のことです。

 

でも、こういうと、人間と神が別なんて当たり前ではないかと思うかもしれません。でも、日本ではそうではありません。人間が死ぬと神様になるというケースがあります。たとえば、菅原道真が死んだ後に神として祀られました。すべての人間が死んで神様になれるということはなく、ごく一部だとは思いますが、それでもあるわけですね。こは、日本人と西洋人の考え方がぜんぜん違うところだとおもいます。

 

 

〇 哲学がどう役に立つのか、そんな難しいこと考えて何のメリットがあるのかを感じることができる

 

「神と人間の契約」なんていわれてしまうと、ますます哲学が縁遠いものに感じてしまいますが、そんなことはありません。出発点は確かにそこですが、ただ、「神ではなく人間の認識が真理を決めるのだ 」という考え方が哲学において確立すると、では、「何を真理と考えればよいのか」という段階に、哲学の議論が進みます。

 

ここにおいて、哲学が私たちの生活に役立つ場面が出てきます。もちろん、「真理」を何と考えるかについて、答えはひとつではありませんし、現時点においても、これが答えであると決まっているわけではありません。

ただ、哲学を知ることの最大の利点は、「思わぬ気づきがある」、「言語化をしてくれる」ということだとわたしは思います。

 

「思わぬ気づきがある」というのは、「なるほど、そういう考え方や見方もあるんだなあ」という新たな体験のことです。それって「体験」ではなく単に「考え方」「見方」ではないかと思うかもしれませんが、わたしは「体験」だと思います。哲学によりこれまで知らなかった考え方や見方を得ることは、まさにそれまでと世界の見え方が変わることを意味します。これって、単なる頭の中の話ではなく経験の話しだと思いますので、「体験」という表現がぴったりです。

言語化」というのは、それまで自分の頭の中で何となく思っていてたいわゆる「モヤモヤ」みたいなものを、哲学が明確に説明してくれることを指します。もし、目の前に哲学者がいてそう言ってくれたら「それそれ、わたしが言いたかったことは」と思わず言ってしまうような状態です。

 

〇 この本で、いろんな哲学を早分かりし、自分のお気に入りの哲学が見つかる

 

そうは言っても哲学は難しいというイメージはなかなか消えないと思います。でも、ご安心ください。この本は、二千数百年の哲学史を振り返り、ビジネスシーンに役立つ哲学を厳選して紹介しています。

さらにすごいのが、どの哲学についても、その哲学の内容さらには、ビジネスでどう役立てればいいのかを、たった2ページ見開きで説明してくれています。この本を読むと、たった2ページでその哲学を理解し自分のものにしてした気にさせてしまいます(笑)。「こんな簡単でいいの?」と戸惑ってしまいますが、とても不思議かつ、ありがたい本です。

 

どうでしょう、たった2ページなら読めると思いませんか?

 

わたしはこの本から、お気に入りの哲学を見つけることができました。それは、「上部下部構造」、「弁証法」、「否定弁証法」の3つです。つぎは、みなさんが見つける番です。