日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

経営も仕事もいがいと世の中は単純にできている、仕事で何か悩んでいる人すべてに読んで頂きたい本

申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。 コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする(著者:カレン・フェラン)、だいわ文庫、2018年6月第一刷発行、

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本のタイトルにしてはずいぶん長い。そして、とても刺激的です。タイトルから推測されるとおり、著者のフェラン氏は、マサチューセッツ工科大学卒業後、経営コンサルタントとして30年、活動しています。つまり、この本は、コンサルタントとしてのフェラン氏の懺悔の本ということになります。

 

この本は、そういう読み物として、つまり、コンサルタントを否定する本として読むことは可能ですし、それは、フェラン氏がこの本を書いた意図と異なることはないと思います。でもこの本は、そういう本としてだけ読むのはもったいない。コンサルタント批判は大事ですが、それだけでは問題は解決しません。コンサルタントの言うことが当てにならないなら結局どうすれば良いのか、という点が一番大事です。この本は、30年間のコンサルタントしての経験を通じた、フェラン氏なりの答えです。

 

〇経営は数字ではない

 

いままで曖昧だったことに、数字を入れることで、一気に何か分かったような気になる経験は多くの人にあると思います。たとえば、営業の場合に、さいきん経費がかかりすぎるということで、単にあまり経費をかけないようにと指示するのと、何パーセント削減するようにと指示するのとどちらがいいかという比較の話しです。このやり方のオチは、本を読んでいただくとして、フェラン氏は、数字で管理することに意味はないと主張します。

 

わたしも自分の仕事でついつい数字で計測して管理するということをやってしまうので、このフェラン氏の主張を読んだとき、ドキッとしてしまいましたが、ふと思い出したことがあります。

いぜん、「99.996%はスルー 進化と脳の情報学」(竹内薫・丸山篤史)という本を読んだことがあります。この本によると、人間は、流通する情報量のうちわずか0.004%しか消費していないそうです。そして、この0.004%の情報をに基づき考え出しが数字により管理しようとしているのが、数字で経営を管理することであり、うまくいかないのはとうぜんだなあと思います。

 

mogumogupakupaku1111.hatenablog.com

 

また、こんな本を読んだことも思い出しました。

 

mogumogupakupaku1111.hatenablog.com

 

 

〇じつは経営はとてもシンプル

 

ではどうすれば上手に経営できるのか、という話しです。フェラン氏は、こういっています。

 

この問題を説明するのにうってつけなのは、流行のダイエットやエクササイズだ。毎年、ドクターやフィットネスの専門家が登場して、痩せるための画期的な方法を紹介する。奇跡にダイエットフードや厳格なダイエットプログラム、新しいエクササイズなど、方法はさまざまだ 

 

ダイエットにより体重を落とすには、摂取するカロリー量を減らし、消費するカロリー量を増やし、差し引きでマイナスにするしかありません。つまり、食事の量をコントロールし、運動・トレーニングによりカロリーを消費するしかないということです。経営もこれと同じということです。原理原則はシンプルでひとつしかないということです。

それにしても面白いです。ダイエットと経営、まったく共通するところのない2つのことが、こうして、共通の軸で説明できてしまうところが。世の中の原理原則はシンプルで共通しているということを示唆しているかもしれません。

 

では、「そのシンプルな経営の原理原則は何か」というところが最重要ですが、具体的な内容は本を読んでいただくとし、私なりにまとめると、「風通しのよい人間関係」の一言に尽きます。これがあれば、少なくともそのチームは最高のパフォーマンスを発揮できます。もちろん、それですべての問題が解決できるかというとそうではないと思いますが、それは、チームの能力を問題が超えているということなので、チームのメンバーの入れ替えが必要です。

それにしても、経営の原理原則がこんなシンプルかつ退屈な内容では、誰もコンサルタントにお金を払わないのは間違いありません(笑) 

 

〇じつは昔の日本式経営は優れていた

 

「風通しのよい人間関係」というと、じつは、従業員を大事にすることを特徴とする昔の日本式経営そのものです。

いぜん、少なくとも平成の始めまで、西暦でいうと、だいたい2000年までの日本の経営は、そんな感じでした。フェラン氏が意図しているかどうかは別として、じつは、昔の日本式経営は経営の方法として極めて優れていたということを、フェラン氏の主張は意味しています。しかし、いまの日本の企業はそうではありません。これも、(おそらく)アメリカ発のコンサルタントの理論を日本企業が受け入れてしまったせいで、日本企業も、コンサルタントにぐちゃぐちゃにされた組織の一つと言えます。

 

フェラン氏は「風通しのよい人間関係」を作るために具体的にすべきことをこの本で紹介していますが、その内容はけっこう日本的です。フェラン氏はこう言っています。

 

関係者を一堂に集め、なぜ現行のやり方で業務を行っているのか、それによって関係者にどのような影響が出ているのかを話し合い、他部門の人が抱えている問題をみんなで理解するという方法には、計り知れない価値があった。セッションが終わる頃には、みんな以前よりも視野が広がり、人間的な思いやりをもってプロセス全体を見つめられるようになっていた

 

みんなで会議して話し合うことが重要だとフェラン氏は言っています。日本式経営っぽいなあという感じです。おそらく今であれば、「会議は時間の無駄。要件はメールで連絡すればそれで良い」といった感じでしょう。

 

じつは、この本の解説を成毛眞氏(元日本マイクロソフト代表取締役社長)が書いているのですが、そこで成毛氏は、この本の主張はいぜんの日本式経営そのものだと述べています。わたしも同じようなことをこのブログで書いていますが、決して成毛氏の解説をぱくったわけではありません。ぐうぜん一致していました(マジです)。解説を読んで本当にびっくりしていまいました。

 

 

この本は経営についての本です。読者としては、社長、役員といった会社幹部がまっさきに想定されますが、わたしはそういう人に限られることはないと思います。たとえば、課長のような中間管理職、管理職でないとしても数名のメンバーを抱えるチームのリーダー、あるいはリーダー以外のメンバーなどなど、自分ひとりではなく同部署の他の人と一緒に、あるいは、別部署の協力を得ながら仕事をしている人もじゅうぶん読者に含まれると思います。ほとんどすべてのビジネスパーソンが含まれるでしょう。いまの仕事の状況に何か違和感を感じている人、この本から何らかの気づきがきっと得られると思います。