日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

いちど失敗するとばん回が難しい年代のサラリーマンは人生後半をどう生きるべきか。40代、50代のサラリーマンにおすすめの本です

 会社人生、五十路の壁 サラリーマンの分岐点(著者:江上剛)、PHP新書、2018年7月第一版第一刷、

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江上氏といえば、元々は第一勧業銀行(現在のみずほ銀行)の行員で、そのときに「非情銀行」で作家デビューした方です。いまでこそ人気作家ですが、元々はサラリーマンだった方です。

この本は、自らのサラリーマン体験も踏まえ、おそらく40代、50代のサラリーマンに江上氏が送る、こんごどのように人生を過ごすべきかについてのメッセージです。江上氏は、49歳で銀行を退職し執筆生活に入っています。まさに五十路の壁を意識して行動されています。

 

〇五十路の壁はみんなある。優秀な人こそぶつかる壁

 

「壁」という言葉、ふつうはマイナスイメージで使う言葉です。「壁にぶつかる」なんて言い方をします。では、「五十路の壁って何の壁なのか?」というのが大事なのですが、この本においては、サラリーマン人生における壁を指します。たとえば、「ずーっと働いてきたけど、会社での出世も先が見えてきた」、「出世どころか後輩が自分の上司になった」といったような壁です。会社ではよくある話です。

 

こういう話を聞くと、「自分には関係ない」と思われる人もいるでしょう。

「自分は30代、40代と仕事をがんばってきたし、実際に成果も出していて、同期の中でも順調に出世してきた。そんな壁にぶつかるのは、これまで大して実績をあげてない奴の話だろう」と思っている人です。

 

でも、江上氏によるとそれは違います。本人の自己評価が過大評価だからかというとそうではないんです。自己評価が適切だったとしてもです。なぜならば、会社は優秀な人ほど出世させないからです。正確には、ある程度は出世させますが限界があります。

 

「これだから、人事はダメだ、上層部はダメだ」と言いたくなるところですが、江上氏によると、これにはちゃんとした理由があります。その理由自体、なかなか興味深いですが、いずれにしても現実は現実です。そうすると、若い頃、優秀ではない人はとうぜんとして、優秀であったとしても、五十路の壁にぶつかる備えをしておく必要があるでしょう。つまりこの本は、すべてのサラリーマンにとって必読です。

 

〇みんな、「のに」病に気をつけよう

 

「のに」病。わたしは、はじめて聞きました。それもそのはず。この言葉は、江上氏の母が江上氏に言った言葉だからです。

 

〇〇したのに、と人は「のに、のに」と言いたくなる。努力したのに報われない、尽くしたのに分かってくれないなどだ。この「のに病」にかかると苦しくて仕方がないというのだ。きっと相田みつおさんか誰かの言葉なんだろうが、私はいい言葉だと思う。人生、「のに」が報われることはない

 

これが「のに」病の定義です。おそらく誰もがいちどはかかったことのある病気でしょう。もちろん私もあります。「のに」病は、具体的には、愚痴という形ででる病気とも言えます。

たしかに、愚痴をいくら言ったところでそれが報われることはないし、なにか自分に利益を生み出すことはないし、下手すると、愚痴を聞かされた周りの人が自分から離れてしまうかもしれない。まったくいいことがありません。「のに」病にかかると、本人はそうとう苦しいです。でもよくかかってしまうから、なんともやっかいです。この本では「のに」病にかかった人の実例を紹介しています。

 

この人も東大出身だったが、出向先でまったく腰が定まらなかった。彼はエリート意識が強烈で、銀行員時代、企業との懇親会などに行くとアメリカ留学と東大時代の先輩、同輩、後輩などが大蔵省(現・財務省)や日銀でいかに重要な地位に就いているかを必ず話題にした

 

かなり重症です(笑)。

この例を読んで、自分は東大出身でないから関係ないと思った人、キケンです。東大出身かどうか関係なくよくあります。職場で後輩を捕まえてはやたら過去の成功体験を述べたり説教をしてくる人、なんかはその典型ですし、お店で店員とかにクレームをつける暴走老人なんても同じでしょう。

共通点は、自分は周りから認められて当然なのに実際はそうなっていない、いわば自己承認の欲求が満たされないので、自分よりも弱い立場の人にそれを無理やり求めるというところです。東大出身かどうか関係なく、誰もが「のに」病にかかってもおかしくありません。

 

〇では、どうすればよいのか?

  

誰もが五十路の壁にぶつかり、誰もが「のに」病になるかもしれない。そうならないためにはどうすればよいのか?

 

江上氏は、自らの壮絶な苦労、体験も踏まえ、具体的な方法をこの本で紹介してくれています。とうぜん方法によっては自分には無理というのもあるでしょう。たとえば、五十路の壁を目前にして作家に転職するなんていうのは、ふつうできないでしょう。江上氏の場合は、学生の頃に作家の井伏鱒二先生に師事しており、その経験が役立ったのではないかと思われます。

 

この本が述べる内容から、そういった特殊な事情を捨象して、すべての人に共通すると思われる部分を私なりに抽出すると、こんな感じになりました。

 

・ いまやるべきことを全力で取り組む

・ その結果がどんなものであれ気にしない

・ こんご自分がどんな利益を得られるのかだけを考える

 

あたりまえ過ぎる内容になってしました(笑)。でも、そうだからといって、この本の価値が下がるということはまったくありません。

 

当たり前のことは誰でも知っている。同時に、当たり前のことをやったからといって常に結果が出るとは限らない、ということも誰もが知っている。だからこそ、当たり前のことをしないあるいはできない人もいる。

しかし江上氏は、とてつもない苦労をする中、当たり前のことを当たり前にやり、そしてちゃんと結果を出すという、誰でもできることではないことを成し遂げ、それに基づきこの本を書いています。そこが大きく違うところです。

 

言い換えれば、その発言に説得力があるということです。修羅場をくぐり抜けた人の言葉には重みがあります。