日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

半沢直樹にあこがれている人、行動する前にぜひ読むべきです。組織とは、喧嘩せず利用するべきもの

組織の掟(著者:佐藤優)、新潮新書、2016年4月発行、同年5月4刷、

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この本の帯にはこう書いてあります。

 

「逆らうだけが能じゃない」

 

このコピー、おそらく、半沢直樹を意識したのではないでしょうか?半沢直樹は、銀行上層部に徹底的に反発し、それが世の中の共感を得、ドラマは大ヒットします。この本が言いたいのは、おそらく、半沢直樹は小説の中の話しにすぎず、実際はそうはならないということでしょう。ドラマを楽しんだ人にとっては興ざめでしょうけど、ドラマはあくまでもドラマ、現実は現実というのは認めざるを得ません。では、組織の現実とはどんなものなのか、という話が大事になります。

 

〇組織は上司の味方

 

この本は、「組織がどのような原理で動くのか」ということを明らかにしています。みんなが何となく気付いているけれど、でも誰も言わないこと、というのは、世の中に一定程度存在しますが、これもそのひとつです。佐藤氏は、こう言っています。

 

組織は基本的に上の味方だ。コンプライアンス遵守などということを額面通りに受け止めて、上司と対立すると決して良いことにはならない

 

おもわず「それはおかしい!」と言いたくなるところですが、これが現実だということは、認めざるを得ません。現実は現実としても、組織なはぜ上司の味方なのかということの理由を、わたしなりに考えてみると、上司に味方する者の思考回路はこんな感じでしょうか。

 

「次は、その部下が上司の上司である自分に逆らうかもしれない」

「部下が自分の思い通りに動かなくなり、自分の立場が危うくなるかもしれない」

 

ようは、上司に逆らう部下が怖いということでしょう。その部下の言動が正しければ正しいほどなおさら怖いということになります。無能な人ほど出世するのと同じ構造かもしれません。

こういう思考回路は、人間である以上避けられないものだと思います。人間の集まりが組織である以上、組織にいる人間の思考回路がおよそこんなものであれば、どんな組織、会社でも起こり得ると言えるでしょう。

 

〇そんな組織でどうやって生き延びるか

 

ただ生き延びるだけであれば簡単です。でも、それでは満足できないという人、たとえば、組織には属するが、組織を通じて自分の思っていることを実現したいと考える人もいるでしょう。でも、それが上司とは対立してしまうときどうすればいいのか、それがここでの「生き延びる」の意味です。

 

この本ではそのために役立つ様々なテクニックを紹介してくれています。自分の実力をいかに身に着けるか、社内に味方を作るにはどうすればいいのか、直属の上司が味方にならないときにどこで味方を探せばいいのか、といったことについて、とてもおもしろい方法論をこの本は教えてくれます。

これらのテクニックに共通しかつ特徴的なのは、組織に属しているがゆえにできることであるという点です。それゆえわたしは、組織で「生き延びる」ために必要な心構えとして、2つのことが言えると思います。

 

組織を簡単にやめてはいけない

組織で自分が潰れるかどうかはすべて自分次第

 

ということです。組織で「生き延びる」のはなかなかたいへんですが、うまく活用すれば、個人で働くよりも可能性が広がりそうです。

ただし、簡単にやめないとはいっても、ブラック企業はさっさとやめるべきです。ブラック企業とは、そこで働いても企業に搾取されるだけで自分に何も身につかない企業のことです。

 

 

貴乃花親方と相撲協会

 

2018年9月25日、貴乃花親方が引退を表明しました。その理由として、相撲協会から、親方が内閣府に提出した告発状の内容を事実無根と認めるよう圧力があったということをあげています。一方、相撲協会側は、そのような事実はないと否定しており、事実関係はよくわかりません。親方は、今後の相撲協会・大相撲の在り方について独自の考え方があり、それを実現すべくこれまで行動してきたものの、親方は相撲協会内部で孤立し、それが引退の大きな原因であったことは間違いないでしょう。

 

この本のケーススタディとして、親方と相撲協会の関係について考えてみたいと思います。

 

親方は、相撲協会上層部との対立もいとわないし、むしろそれを積極的に外に発信していたと思います。しかし、この本の考え方を当てはめると、この行為は極めて危険です。組織は上司の味方、つまり相撲協会上層部の味方です。相撲協会の理事等の選任・解任は評議員会の権限ですが、評議員会議長の池坊氏は、親方にとても冷淡でした。

 

一方で、相撲協会内部での味方づくりは不十分でした。親方はどの一門にも属しておらず、それが今回の引退の一因となっています。また、相撲協会上層部にも味方はいませんでした。これと反対に、相撲協会外部の味方、特にマスコミに親方は人気がありました。じつは、この本でも組織の外に味方を作れということをテクニックとして紹介しています。その点では親方の行動はこの本の考え方に沿っているように見えますが、じつはぜんぜん違います。

じつは、外の味方を作るのは、外の味方を通じて組織内部に味方を作るためです。親方は、内部に対抗する勢力としてマスコミを味方にしていました。やっていることが正反対です。

 

まとめると、貴乃花親方は、自分の力、人気を過信してたがために、味方がいなくても大丈夫と考え行動したが、結果、追い詰められ、とうとう相撲協会に居場所がなくなったのでしょう。

 貴乃花親方のように実力、人気どちらも抜群の人でさえ、組織と対立した末路はきびしいものです。ましてや、そんな実力、人気もないふつうの人は、組織とは対立せず、そして利用していくべきでしょう。半沢直樹はあくまでもフィクションです。