日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

作家なんて無理と思っている方に自分も作家になれるという希望を持たせてくれる本

週末作家入門-まず「仕事」を書いてみよう(著者:廣川州伸)、講談社現代新書、2005年1月第1刷発行

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いぜん、週末起業という言葉がありましたが、週末作家とは、それの作家版ということなのでしょう。でもなぜ作家なのでしょうか?

ものを書くという行為は、誰でも子どものころから親しんでいます。絵や音楽については大人になるにしたがってやめてしまう人が多いでしょうが、ものを書くという行為は、仕事でも、また趣味や日常生活のなかでも続けています(中略)いきなりマンガを描いたり、作曲したりすることはできません。しかし、ものを書くという表現方法ならば、誰でも、最初からある程度のレベルには達しているもの。あとは、そのレベルをどこまで高められるかという問題になります(23ページ)

ものを書くということは、たしかに日常的にやっています。いま私がこうしてブログを書いているのもそのひとつ。他のことに比べると、入りやすいということは、ものを書くことの特徴ですね。

わたしたちは「作家」目指したいと思います。そのときに、まずやるべきことは「形から入る」ということです。自分が作家になったつもりで、生活してみるのです’(中略)週末の自由時間を「作家」のつもりですごします。たとえば、土曜日の深夜。普通ならとっくにお酒を飲んで寝ている時間帯に、一人で創作ノートに向かう。気分はもう作家です。自分を主人公にして、エッセイの一つや二つ、書いてみます。最初は、ぎこちない作品になるでしょう。作品とは名ばかりで、とても人様にみせられるシロモノではありません。でも、それでいいのです。自分で書いてみる、これが作家への第一歩(23~24ページ)

ものを書くこと自体は既にできるわけですから、いつでも作家になれるわけです。とはいえ、私の場合、そもそもエッセイって何?というレベルなので、「いつでも」というわけにはいかないようです(笑)ところで、NHKの調査によると、サラリーマンの週末の土日の自由時間は、約14時間あるそうです(95ページ)。週末の自由時間、意外と多いですね。

仕事には、必ず「学び」の部分があるはずです。また自分の立場をフル活用すれば、テーマにつながる体験を積むこともできるはずです。しかも、その仕事は「人が嫌がる仕事であればあるほど、それを体験している人が少ないので貴重」という大原則があります。勤め人としては苦しくて「マイナス」でしょうが、書き手としてはおいしい「プラス」となるのです。たとえば、総務関係でクレーム対応をしていれば、日々、大変な外レスが襲ってくるはずですが、反面、そこにはさまざまな体験、ノウハウが蓄積されていきます(中略)自分にはそんな壮絶な体験は見当たらないという場合は、「視点」を変えて、自分の仕事をとらえ直してみてください。たとえ何も書くことがない平々凡々なサラリーマン生活を送っている場合でも、あなたには「会社勤め」という素晴らしい立場があります。仕事の内容がハードであればあるほど、あなたが書くテーマは、そこに集中させることができます。仕事がハードだということは、きっと会社から期待されています。そこであなたには、仕事を「改善する」という大きな仕事が課されているかもしれません。忙しいなかに、どのようなノウハウが詰まっているのか。時間の使い方で、あるいは人の使い方で、仕事のやり方で、効率はどのように変わっていくのかというテーマがでてきます(36~37ページ)

何をテーマに書けばいいのか、それが最大の悩みです。自分の仕事で書けることなどない、と考えるのがふつうですが、廣川氏の述べる方法であれば、何か見つかるかもしれません。自分の仕事の価値を再発見することにもなりそうです。

仕事の相手は、すべてお客様です。そんな相手に満足してもらうには、どうすればいいかを考えながら、あなたは仕事をしているのです。そうでなければ仕事は続きません。そこで得た「どうすればお客様がよろこぶのか」という知恵が、あなたの最大の武器となります(中略)仕事で成功している人は、それだけ、読者を満足させるコツを心得ているはずですから、文章を書いて相手をよろこばせることが上手だとみることもできます(41~42ページ)

こういわれると、仕事をしている人であれば、何らかのテーマを見つけることができそうです。たしかに、本屋で実際に販売されている本のテーマを見ると、自分の仕事に関係するテーマが多いですね。一般の人に関係するテーマでなければそもそも本は売れないわけで、当然といえば当然ですが、廣川氏に指摘されて初めて気づきました。その意味では、実際に本屋にある本のテーマを眺めて、そこから自分でも書けそうなテーマがないか探すという方法もありでしょう。

あなたの仕事が何であれ、その仕事について「誰にでもわかるように、ちゃんと説明できる」ようになれば、あなたはビジネス書を執筆する資格を得たことになります。ここで「わかりやすく説明する」ということが、簡単なようで一番難しいものです。製造業であれサービス業であれ、仕事のノウハウを平易に、わかりやすく伝えるのは、大変な技術と労力を必要とするものです(68ページ)

分かりやすく説明できること自体が技術であり、そして、貴重な技術であるというのは、週末作家の大きな可能性を示してくれています。書くために必要な能力が具体的に示されると、あとはそれを上達させるための練習に尽きる訳ですし、また、自分のようなレベルの書き手はいくらでもいるのではないか?と不安になることもありますが、分かりやすく説明できることが差別化につながるということであれば、どうすれば差別化できるのかということもはっきりしますので、そんな不安も解消されます。

テーマは一つでいいのですが、そのテーマを読者に伝えるためには、それを発展させて「さまざまな事例」で具体的に示していくことが必要になります(中略)ビジネス書では、具体的なビジネスの現場で何が起こっているか、そこを書き込むことで読者の共感を得ることができるのです。これも「どんな事例があるかな」と考えながら創作ノートにためこんでおいてください(113ページ)

創作ノートから「テーマを発展させた内容」すなわち「読者に語るべき内容=小テーマ」について、五十項目を提示することができたら、それはビジネス書として刊行できる可能性があります。少なくとも三十項目、内容について語るべきものがそろってきたら「潮時」と思ってください。もしも、テーマについて「そんなに語るべきことはない」と感じたなら、まだ「発表できるほど煮詰っていない」ことになります。そのときには、テーマに関する類書を読んでイメージをふくらませていきます。また、取材が足りないかもしれませんので、テーマについて詳しい人を探して、それについてディスカッションをしてみます(117~118ページ)

 テーマを見つけ、分かりやすく説明する能力を鍛える、というところまでは理解できますが、とはいえ、それで本当に自分が本を書けるのか、という不安は消えませんが、それが何なのか、廣川氏は指摘してくれています。話を膨らませるという言い方でもいいのかもしれませんが、そこはなかなか難しいところですね。けっこう難しいことだなあとは思いますが、これもとりあえず、創作ノートを書いていくしかないのでしょう。

会社の評価よりも「業界の評価」を基準にしてください。社内で高い評価を受けていても、業界ではまったく通用しないということは、よくあることです。仕事でのつながりを重視し、会社の代表としてではなく、仕事をしているプロ同士として、社外のつきあいを広げていくのです。そんなあなたは、週末こそ、自分の「仕事」を磨くときです。仕事に幅をもたせるのです。本を読む、イベントに行く、あるいは自分の仕事について、SOHOを立ち上げて「週末起業」を実践してもいいでしょう。徹底的に仕事を極めることで、まず好きな「仕事の本」の刊行を狙います(77ページ)

一つ前でご紹介した部分で、小テーマが足りないときにディスカッションをするという方法を廣川氏は提案していますが、社内の人とディスカッションというのは難しいでしょう。その意味で、廣川氏が社外のつきあいを広めることを勧めるのは納得です。また、テーマ探しのときでも、社内の評価に囚われていては、一般の人が読んでみたいと思うテーマを見つけることは難しそうです。

外回りをしている営業マンの方は、たとえば「立ち食いそば屋」を研究するという手もあります。どこが「早くて美味しい」のか、ベスト10をつくってみる(中略)サラリーマンの強い見方「立ち食いそば屋」の情報を集めるだけで「一度は行きたい・一冊まるごと立ち食いそば屋」という本ができるかもしれません(136ページ)

テーマは仕事自体以外からも発掘できるという例ですね。自分の趣味とかも含まれるかもしれません。

仕事をしながらビジネス書を書きたい人、あるいは将来は経済小説を書いて発表したいと考えている人に、とっておきの「夢を実現する方法」をお伝えしましょう。それはズバリ「商業出版社に勤めている編集者と知り合いになること」です(中略)それらの人を直接的には知らないという場合でも、前述したように出版関係者が集まりそうなパーティを紹介してもらい、積極的に動きまわればめぐり合うこともあるはず。さらに、初期投資が必要になりますが、たとえば好きな作家の講演会に申し込んだり、ビジネス書をだしているコンサルタントなどのセミナーに申し込み、パーティにも参加するといいでしょう(207ページ)

編集者と出会ったら、いろいろなことを話し合える関係を目指します。自分の思っていることをぶつけて、相手の興味関心がどこにあるかを考えていきます。編集者は、基本的には「本が大好きな人」です。そこでまず「最近読んだ本」「影響を受けた本」「好きな作家」などについて、いろいろ聞いてみることです。そして、自分のほうからも、相手が知らないと思う情報で、役に立ちそうなことがあればどんどん提供していきます(208ページ)

本のことは、本のプロである編集者から聞くのが一番、ということですね。編集者の方といろいろ話ができれば、週末作家を目指す上で非常に刺激になるのは間違いないですね。

企画の鉄則は「一番重要なツボは、ブラックボックスにしておき、表にださない」ことです。隠し球を、いつももっておくことが企画書を書くコツなのです。企画書は、先方に「読んでみたい」と思わせることが目的です。友人は別として、これが重要だという中心部分をすべて披瀝してアイデアだけを盗まれてしまわないように工夫してください(131ページ)

出版業界もいろいろ恐ろしい世界のようです。もっとも私の場合は、盗まれるに値するアイデアを思いつくことができるのか、というのが問題で、盗まれることの心配は早すぎですね(笑)