日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

「人生を変える勇気-踏み出せないときのアドラー心理学-」岸見一郎

この本の内容は、タイトル本体というよりは、サブタイトルに端的に現れています。何かに踏み出せないで迷っている人が一押しされたいとき、この本の読み時です。ただし、一押しの程度は、軽く押すどころか突き飛ばすぐらいの強さですので、覚悟が必要です。

88件のさまざまな悩みに岸見氏が回答する形式です。岸見氏が研究するアドラー(心理学)は「すべての悩みは対人関係の悩みである」としており、88件の様々な人間関係に関する悩みが紹介されています。ふつうに最初から順番に読み始めるもよし、目次から自分の悩みと近い悩みを探してそこから読み始めるもよし。読み方は様々ですし、回答内容は、とうぜん悩みに応じて様々ですが、88件の悩みを通じて、岸見氏の回答スタンスは一貫しています。私がすごいと思った言葉を紹介します。

「今の問題の原因を何かに求めている限り、本来自分の責任で自分の生き方を改善しなければならないのに、そして実際、改善できるにもかかわらず、少なくとも積極的には自分の課題を解決しようとはしなくなります」(6ページ)

「悩むことには目的があります。決めないためです。悩むのをやめた時、決めなければなりません。ですから、いつまでも悩み続けます・・・決めるのであれば、先延ばしにしにしないで、今ここで決めればいいのです」(34ページ)

「感謝を期待する人は、患者のことではなく、実は、自分にしか関心がないのです。医療者に必要なのは、患者から感謝されたいという承認欲求ではなく、この人を治したい、治さなければならないという気持ちです。自己満足とは程遠いものです」(40ページ)

「どんな行為にも適切な面があるはずです・・・同じ行為の適切な面に注目することで、同時に同じ行為の不適切な面に注目しないですむようになるのです」(66ページ)

「その人の評価が自分の評価を決めるわけではありません。評価と自分の本質には、この場合も何の関係もありません」(84ページ)

「大人になるというのは、自分の課題は自分で解決できること、自分は決して自分が所属する共同体の中心にいるのではなく、他者は自分の期待を満たすために生きているのではないという事実を知っているということです」(94ページ)

「およそあらゆる対人関係のトラブルは人の課題に土足で踏み込むこと、あるいは、踏み込まれることから起こります」(195ページ)

おそらく、読んでいてドキッとしたフレーズがあったのではないでしょうか?言われるまで気づかなかったけど、言われてみればたしかにそのとおりと唸ってしまう名言ばかりです。一方、そのとおりすぎるがゆえに耳に痛いところもあり、岸見氏の話を聞いて腹を立てる人がいるのもわかる気がします。

私の場合、仕事で人間関係に悩むことが多く、それでこの本を読んでみたのですが、仕事の人間関係についての記述も、岸見節が炸裂しています。

「自分ではどうすることもできないものを気にかけず、自分の仕事に励むこと」(112ページ)

「同じ失敗が続くとすれば、しかるという方法そのものが、適切ではないと考える方が論理的です・・・もう少し強く叱れば、部下の失敗は減るのではないかという希望を捨てられない上司は、たとえ望む結果を得られなくても、いつまでも叱るという方法に固執するのです」(123ページ)

「部下は「ありがとう」といわれたら、自分が会社(共同体)に役立っていると感じられます。そう感じられたら、部下は自分に価値があると思え、自分に価値があると思えたら、仕事に取り組む勇気を持つことができます。勇気を持てれば、仕事をやり遂げられると思えます」(125ページ)

この本を職場の上司、同僚、部下みんなが読み、内容についてみんなで議論してみたら、きっと職場の人間関係が良くなることは間違いありません。

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「人生を変える勇気 踏み出せない時のアドラー心理学中公新書ラクレ557

著者 岸見一郎

2016年6月発行

発行所 中央公論新社