日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

いまなにかの悩みがあって困っているすべての人に読んで頂きたい本

まる儲け! 商売成功のための極意(著者:大田勝)、角川ワンテーマ21、2006年1月初版発行、

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さいしょタイトルをよんだとき、てっきり、ビジネスでどうやって儲ければいいのか、という儲けるためのノウハウが書いてある本と思い、読み始めました。しかし、じっさいに読んでみると、期待したような話はありましたが、むしろ、著者の大田氏の明快単純な主張に圧倒されるばかりです。

 

他人と関わりながらも、「しがらみ」にとらわれないようにするいは、どうしたらいいのか。それをするために一番大事なことは、自分自身の執着心を捨てることである。他人の噂とか、景気動向とか、多くの人はいろんなことにこだわってアクセスするが、私は平気で「こだわり」を捨てる。世間から見れば一大事と思えるような、金のからむ事柄でも、私は「こだわり」を持たない(11ページ)

 

成功するには自分なりの「こだわり」を持て!という話は聞いたことがありますが、「こだわり」を捨てろ、というのは初めてです。さらに、これも驚きです。

 

例えば、私にはAさんという友人と、Bさんという先輩がいる。私はAさんともBさんとも仲良く付き合っているのだが、AさんとBさんの仲は少々険悪である。こうした場合、私はどうするかどいうと、わざと二人を一緒に誘って、ゴルフや麻雀を楽しむ(17ページ)

 

ふつうでは考えられないことです。奇策とも言えるでしょう。しかし、大田氏がなぜこうするのかという理由を聞くと納得してしまいます。これもすごいです。

 

「世の為、人の為」などという言葉は所詮”後付け”にすぎないということだ。感じで「人の為」と書けば、「偽り」である。為せば成るのは、人の為ではなく自分の為。人間というものは、自分自身が楽しめない、違和感のある道では大成しないのである(32ページ)

 

すごいですねえ。もしツイッターとかでつぶやけば、炎上まちがいなしでしょう(笑)。でも、言ってることはそのとおりです。建前、ええカッコしいはやめるべきです。

 

人間が不幸になるのには原因がある。そして、その原因の多くは、一部の例外を除いて、当人にあると思っておいたほうがいい。一部の例外とは、空から隕石が降ってきたとか、通り魔に刺されて命を落とすとか、当人にはまったく非がないのに被害にあう場合のことで(中略)たとえ誰かが故意に欺いたとしても、そんな人間を信用した自分が悪いのだと腹をくくれば、誰かを恨んだり、愚痴をこぼしたりしなくて済む。そうすると自分を不幸に感じることもなくなるはずだ。また、不幸というのは本人がそう感じるから不幸なのであって、誰がどこから見ても不幸な人などいない。不幸も幸福も、本人の感じ方次第なのである(83~84ページ) 

 

大田氏の話を聞けば、いま自分が世界で一番不幸だと思っている人も、じつはそうではないんだと気づくことでしょう。ここまで読むと、大田氏は決断力がきわめて優れている人だという印象を持つと思います。実際そのとおりなのだとは思いますが、そんな大田氏はどうやって物事を判断するのか、とても気になります。

 

事業を展開していく際の主要場面での判断は、カンに頼る場合が多い。データを積み重ねた予測の向こうにある、何かの気配。それを感じ取る能力が、カンだ。直観力と言い換えてもいい。どんなにデータを分析して予測を立てても、未来は未知なのだから、次の一方を踏み出すには度胸がいるか、度胸の裏づけになるのが直観力である。会社経営に限らず、勝負事ではカンが勝負の行方を左右する場合が多い。将棋の世界でも緻密な読みよりも直感で勝つことのほうが多いという(151ページ)

 

判断力が優れているという人のイメージどおりではありますが、おそらく、データとかの緻密な分析をしないということではないと思います。それをいくらしても、結局答えは出ず、そこを出すのは自分のカンでしかない、という意味と思われます。カンの話といえば、いぜん、直感がなぜ当たるのかということを説明した本を読んだことを思い出しました。

 

mogumogupakupaku1111.hatenablog.com

 

ずーっと商売とは直接関わららない話ばかり紹介してきましたので、最後に商売に話そのものを紹介します。

 

大衆に説得は無用である。大衆は、まわりくどい説明の一部始終を辛抱強く聞いてくれるほど暇ではない。あらゆる情報を突き合わせてから購買を決定するようなシンドイことはしない。そこを勘違いすると商売は失敗する。いくら優れたサービスでも、そのメリットを一から百まで逐一説明したところで、「じゃあそれ、いただくわ」ということにはならない。では、どうするか。大衆の目線でモノを見、生活感を忘れないことである。そして、その商品のメリットと、何気ない日常との接点を見つけて、できるだけ簡潔に説明すればいい。大衆を理屈で説得しようなどとは思わず、「うんうん、そうだ、その通りだ」と共感してもらえるような題材を探したほうが、よほど効果がある(中略)試しに、妻や子供を相手に実験してみれば、その企画が大衆の心を掴めるかどうか、分かりそうなものなのだが(46~48ページ)

 

いま自分が悩んでいること、あるいは、これから悩むこと、すべてが、どうでもいい、つまり真剣に悩む価値などないということを分からせてくれる本です。