日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

今いる会社で働き続けるかどうか決めるとき、この本を読んでから決めて欲しいと思う本

崩壊する組織にはみな「前兆」がある 気づき、生き延びるための15の知恵(著者:今村英明)、PHPビジネス新書、2013年5月第1版第1刷発行、

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著者の今村氏は、コンサルタントとして19年間、内外の一流企業に経営アドバイスをしており、様々な企業を見ています。そんな経験を踏まえ、崩壊する組織にある「前兆」として、15の現象を紹介しています。今村氏は、経営者のためにこの本を書いたのではなく、若いビジネスパーソンに対して、早めに自分の属する組織の崩壊の前兆に気づき、上手にリスクを回避できるようにということで、この本を書いています。そして、「前兆」は、大企業、中小企業を問わず、例外は一切ありません。

 

既に会社に入社している会社員の人、あるいは、今年学校を卒業して会社に入社した人、どちらの方にもぜひ読んで頂きたい本です。そして、万が一、自分が入社した会社に、この本で紹介する「前兆」があったらどうすべきか?なかなか難しいところです。

今村氏は「先駆者シナリオ」、「体制転換者シナリオ」、「没落者シナリオ」という3つのシナリオを紹介し、一番多いのは3番目の、何か変えないといけないとうすうす感じつつも結局何もしないシナリオであり、そして、万が一企業が崩壊すると、この人たちは企業と一緒に没落してしまいます(145ページ)。

 

それゆえ、今村氏は、会社崩壊を回避するために何かすべきであるということを勧めています。それもひとつの対応の仕方かなあと思いますが、一方で、現実問題、若手社員ができることには限界があります。いくら変えようと思って努力しても社内の抵抗に合い何も変えられないということもあり得ますし、変えることができたとしてもすでに手遅れで会社の崩壊をとめられない、ということもあり得ます。今村氏は、どんな優良企業でも崩壊するときは一瞬であるとして、危機(「前兆」とは別)発生から崩壊まで、約3か月しかかからなかった実際例を紹介しています(220~222ページ)。

 

「前兆」が自分の会社であった場合、会社を立て直すのか、それとも辞めるのか、これは答えは1つではありません。それは、そのときに自分で考えるしかありません。

 

一方、会社を辞めるという話しでは、入社した会社がブラック企業だったら辞めるのか、という話しがあります。でも、この本で問題にしているのは、ブラック企業かどうかではありません。「前兆」の中にはブラック企業であることをうかがわせるものもあり、多少は重なりますが、ブラック企業であることとその会社が崩壊することはイコールではありません。ブラック企業でも利益を出して存続することは可能だからです。

 

ところで、みなさんはご存知でしたか?

 

日本と欧州の全企業の平均寿命は12.5年、最近20~30間に日本で新に設立された企業の4社に3社は設立後10年以内になくなっています(203ページ)。

 

ゴーイング・コンサーン」という言葉があり、企業は人間と違って永久に存在しているかのようなイメージがあります。終身雇用はなくなったと言われて久しいですが、いまいち実感が持てない人も大勢いますが、それは、このイメージがあるためでしょう。それ自体は一般論としては間違いではないのですが、現実は数字が明確に示しています。この数字を見れば、とても終身雇用などという期待を企業に持つことはできないことは、明らかです。

企業は12年で終わりますが、人間は80年ぐらい生きることが平均的です。学校卒業後で考えても、残り60年ぐらいの人生をどう生きるのか、ということを考える時、平均で12年しか存在しない企業に人生を依存するのはたいへんリスクの高い行為です。

 

自分の長い人生において、お金を稼ぐという側面におて、企業という組織とどう付き合っていけばいいのか、考えさせられる本です。