日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

世の中意外と知らないことばかりだし、知ってる方がトクすることもあるということが分かる本

「価格」を疑え なぜビールは値上がり続けるのか(著者:吉川尚宏)、中公新書クラレ、2018年5月発行、

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誰もがより豊かな生活をしたいと願っています。

 

では、豊かな生活とは何か?ひとつの考え方として、どれだけ自由に好きなものが買えるか、というのがあるとわたしは思います。そして、どれだけものが買えるか、それは、その人の持っているお金つまり収入と、ものの値段つまり価格のバランスで決まります。

 

この本は、豊かな生活を大きく左右する「価格」についての本です。経済学では価格について、市場における需要と供給のバランスによって決まると教えています。しかし、この本によると、日本の価格の中には、そうでないものがある、つまり「官製価格」です。

 

こんな仕組みがあるなんて知らなかった

 

バターの話しです。少し古い話しですが、2014年にバターの品不足が大きな問題となったそうです。「バター不足?そんなの自分の生活に関係ないなあ。」と思うかもしれません。わたしもさいしょそう思いました。バター不足で一番困るのはケーキ屋さん、つまり洋菓子業界だそうです。2014年のバター不足はクリスマスシーズンに起こったのでより問題となったようです。

 

ふつうなら、品不足になればバターの価格が上昇し、それにより生産量が増えたり、あるいは、輸入が増えたりして価格も落ち着くというのがふつうの市場ですが、バターはそうではないんですね。

 

なんと、バターの輸入は国が一元的に管理しているんです。昔のソ連のような社会主義経済ではあるまいしという感じです。これが、安全保障とか軍事機密みたいな話ならまあ分からんでもありませんが、言い方悪いですが、たかがバターのためになんで国がここまで関わる必要があるの?と思います。

 

もっと驚きなのは、そういう制度があることをいままでわたしが全く知らなかったことです。この本、勉強になります。

 

日本の鉄道は海外より30年以上遅れている

 

意外ですよね。むしろ逆では?日本の鉄道はほとんど遅れず時刻表どおり運行しているんだからとふつう思います。問題は、運賃です。

 

東京には、JR東日本、私鉄、東京メトロ都営地下鉄と4種類の鉄道会社があります。そして、中には同じようなところを走っているところもあります。しかし、A駅からB駅まで移動するとき、鉄道会社によって運賃が違うことがあります。また、鉄道会社間での相互乗り入れや乗り継ぎ制度も充実していますが、その場合でも、初乗り運賃は2回取られます。

 

ようは、日本の鉄道は、運賃が各鉄道会社ごとに決まっているということですね。「それって当たり前でしょ、何が問題なの?」と思った人、じつは30年遅れています。

 

なぜなら、海外では通算制があります。これは、同じ距離の利用であれば、鉄道会社が違っていても同じ運賃になる制度です。つまり、鉄道会社単位での運賃設定にはなっていないということです。

驚きなのが、ヨーロッパでは、1970年代前後から議論が行われ、導入が進められたという事実です。ヨーロッパだけではありません。韓国、シンガポールといったアジアの国でも導入されています。

 

日本の鉄道、遅れていると思いませんか?

 

当局が無能だから物価が下がらない

 

こんどは携帯の話しです。携帯料金が高いと言われることが多いですが、なぜ高いのか?安倍総理は以前携帯料金の水準を問題とする発言をし(2015年9月)、監督官庁総務省は料金引き下げの政策をやっています。でも、うまくいっていません。料金が下がったという実感はまったくありません。

 

この本では、監督官庁である総務省、さらに、監督官庁ではありませんが公正取引委員会がいかに失敗をしてきたか、そして、そのせいで、携帯料金を下げるチャンスが失われてしまったのか、を説明してくれています。当局の無能ぶりを堪能することができます(笑)。

 

ただ、わたしたちとしては、携帯料金は下がって欲しいですから、当局にはほんとうはがんばって欲しい。当局の無能さを笑っているだけでは、いちばん困るのはわたしたちです。ではなぜ当局は無能なのでしょうか?

 

政策を決定している役人がシロウトだから

 

「マーケットデザイン」という言葉、聞いたことありますか?わたしはこの本で初めて知りました。経済学の一種だそうです。

 

大阪大学大学院経済学研究科准教授の安田洋祐氏によると「経済学(特にゲーム理論)で得られた最新の知見をいかして、現実の経済制度の修正・設計を行う新しい研究分野」として注目されているのがマーケットデザインである

 

その分かりやすい例が、携帯分野における電波オークションです。日本では導入されていませんが、じつは世界では常識的政策のようです。最初に導入したのはアメリカで、以後各国の導入が続き、この本によると、日本以外のOECD加盟国はすべて電波オークションを導入しています。つまり、日本だけ未導入です。

 

なぜそんなことになるのか?日本の役人は経済学の知識・感覚が乏しく、マーケットデザインといった学門を使いこなす能力がないためということです。それゆえ、価格を下げようと政策を出しても的外れな政策になってしまう、ということでしょう。

 

この話、役人だけではありません。経済学の知識がないのはわたしたちも同じです。では、わたしたちは、ふだんの生活や仕事をする上で知らなくて良いのかというとそうではないと思います。

 

mogumogupakupaku1111.hatenablog.com

 

 

大人になっても勉強は大事だなあとつくづく痛感し、また、これまでのわたしの不勉強を思うと、冷や汗ばかりです(笑)。