日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

すべての会社員、いやすべての社会人が知り、そして習得すべき応酬話法

禁断の説得術 応酬話法ー「ノー」と言わせないテクニック(著者:村西とおる)、祥伝社新書、2018年3月初版第1刷発行、同年4月第2刷発行、

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著者の村西氏といえば、AVの帝王として有名です。こう聞くと、村西氏はずーっとAVの仕事をしてきたかのような印象がありますが、そうではなないんですね。学校を卒業後、さいしょは水商売をし、結婚を契機に転職した仕事が、英語の百科辞典のセールスです。 この本のテーマである応酬話法は、そのセールスマン時代に村西氏が掴んだ手法です。

 

〇 応酬話法とは

 

お客さまから投げかけられる疑問・質問・反論の答える ためのセールストークのことです。実は、お客さまの反応には一定の型があり、その型ごとに答えを用意するのです。誤解されやすいのですが、けっしてお客様を論破するものではありません。むしろ、お客様に自然に納得していただく、「ノー」と言わせない説得術です

 

「ノー」と言わせない説得術とは、なんとも魅力的です。わたしたちは、相手が自分の思い通りにならないからこそ、人間関係において苦労します。ましてや、営業のように、モノを売りお金をもらうとなれば、なおさら思い通りにならないのが普通です。村西氏はこの応酬話法により百科辞典をセールスした結果、多いときは、月40万円(現在の価値にすると200万円)以上の収入があったそうです。

 

〇 モノ消費からコト消費へ

 

村西氏は高卒。英語が得意なわけでもない。なのに、なぜ、村西氏は英語の百科事典をお客さんに買ってもらうことができたのか?

 

お客さまは、そうした英語を学ぶノウハウは学生時代に食傷していました。今さら、学習テクニックを熱く語っても興味を示すことはなかったのです(中略)私は、お客さまが英語の実力を身につけることで、いかに明るい未来を築けるかの説明に徹しました。英語で啖呵を切ることの実力を身につけることで、どれだけ企業戦士としての将来が有望になるか、を語ったのです

 

日本大百科事典(ニッポニカ)によると、コト消費とは、

 

ある商品やサービスを購入することで得られる、使用価値を重視した消費行動。コト消費ということばは、消費者の価値観やお金の使い方が、従来のモノ消費から大きく変化したことを印象づける意味で、2000年(平成12)ごろから使われるようになった。典型的な傾向は、所有のためではなく、趣味や行楽、演芸の鑑賞などで得られる特別な時間や体験、サービスや人間関係に重きを置いて支出することで、それが購買の判断基準となっている 

 

だそうです。村西氏のセールス、まさにコト消費のセールス手法です。そして、驚きのなのが、コト消費という言葉は2000年から使われるようになりましたが、村西氏が英語辞典のセールスをしていたのは、1970年代です。30年も先を行っていたことになります。

 

〇 笑顔は社会人の最低限の要件

 

応酬話法という言葉のイメージ、あるいは、お客さんの質問・疑問・反論にどう答えるかというのが応酬話法であるとすると、どうも硬い印象がありますが、まったく違うようです。村西氏はこういいます。

 

営業マンに限らず、人前で笑顔を見せることのできない者は社会的失格者です。笑顔を見せることができないのは、自分のことばかりを考えている自己中心的な考え方の持ち主であることを白状しているようなものです。他人の前で無防備に笑う、ということは相手を無条件に信頼しています、裏切りません、という意思の表明なのですから

 

笑顔にここまでの高い意義を認めている人をわたしは知りません。

村西氏は百科辞典のセールス時代に培った応酬話法をもって、AVの仕事を始めた後、「この人が!」と世間が驚く女性をAVに出演させています。しかし、ここまで笑顔を大事にする村西監督であれば、さいきん問題となっているAV出演強要問題とは無縁であったと思います。

 

〇 すべての会社員、いやすべての社会人に必要な応酬話法

 

ひょっとして、「自分は営業の仕事はしていないし、AVの仕事をしていない。だから、応酬話法は自分には関係がなく役に立たない。」なんて思っている方いないでしょうか?

とんでもありません!応酬話法は会社員、社会人すべてが持つべき技術のひとつです。営業担当でないとしても、社内で上司を説得しないといけない、あるいは、家庭で妻をあるいは夫を説得しないといけない、ということは、かならず起こります。そんなとき、この応酬話法が役に立ちます。

なぜなら、応酬話法は、「お客様(相手)に自然に納得していただく、「ノー」と言わせない説得術」だからです。

 

自分ひとりでできることには限度があります。しかし。応酬話法により、周りの人が自分の考えに賛成してくれたり、あるいは、協力してくれたりするようになれば、その人の人生が幸せなものとなるのは間違いないでしょう。

じっさい村西氏は、AVの仕事で50億円の負債をかかえ事業に失敗しますが、その後、様々な仕事をすることで、借金を完済しています。このときにも、応酬話法が大いに役立ったのは間違いないでしょう。