日々読書、時々一杯、折々投資

モグパクです。都内で働くサラリーマンです。 新書・文庫を1日1冊読むのを日課にしてます。あと、酒(主に日本酒)を飲むこと、投資をすることが好きです。

このまえ新幹線でぐうぜん隣になった(かなり)変わった男性の話

このまえ出張のため新幹線に乗った。わたしは、新幹線にのるとき、エクスプレス予約で座席を指定している。できるだけ、通路側の席、それも、3人がけの通路側の席(C席)に座るようにしている。通路にでるとき便利だし、3人がけの真ん中の席(B席)は座る人がいないことが多く、のびのびできるからだ。

ところが、その日乗る新幹線はほぼ満席で希望の席がとれず、2人がけの通路側の席(D席)になってしまった。とうぜん、隣の窓側の席(E席)も予約済みとなっている。隣に誰かいるらしい。嫌だなあと内心おもいつつ新幹線に乗り指定された席に向かうと、

やっぱり座っていた(当たり前だけど)。どうも、わたしよりかなり高齢の男性らしい。自分の席をみると、その人のコートが、わたしとその男性の間にある肘かけにかかってしまっている。ときどき間にある肘かけにドンと腕を置いて、当然のごとく占領している人がいるけど、それと同じ感じがして、なんかいやだなあと思いつつも、その程度のことで文句を言うのもどうかと思い、黙って座る。

その男性、かなり集中して仕事をしている様子。そういうとき、さいきんはパソコンをトレイに置いてカタカタというのが普通だが、その人は、原稿用紙をひろげている。しかも、鉛筆をつかって手書きで何か書いている(内容は読んでいない)。珍しいなあとおもいつつ、その人をみると、見た目も、ふつうのサラリーマンという感じがしない。そもそもスーツ着ていない。ひょっとして小説家?とか思ったり。ちょっと変わった人なんだなあと。気難しそうで横柄な印象。正直、あまりお近づきにはなりたくないタイプ、お互い様か(笑)。

わたしはさっそくトレイをおろして、弁当を食べ始める。夜だったし、出張の仕事もぶじ終わったので、ビールを飲みながら。この弁当、2割引で買ったけど、なかなかおいしいなあ、こんどまた買おうかななんて思いながら、弁当とビールを楽しんでいたら、となりの男性から音がしてきた。なんだろうと思ってふと見ると、カッターナイフを取り出している。

えっ!何するの?まさかわたしを刺したりしないよね、なんて余計なことを考えつつ思わず見つめていると、こんどは、ティッシュみたいな紙をトレイにひろげた。ますます何をするか分からず、興味津々になって見ていると、

鉛筆をカッターナイフで削りだした!!!

いままでいろんな人を新幹線で見てきたけど、鉛筆を削る人ははじめて。たぶん、今後も二度とないと思う。そもそも、いまどき鉛筆を削る人がいるのか!という二重の驚きに衝撃を受けてしまった。

つづいて、鉛筆削るのはいいけど、削りカスとかこっちに飛んできたら困るなあ、いまちょうど弁当食べてるところだし、ほんとうに困るなあと思い、一瞬の衝撃のあとは長い困惑が広がる。さすがに、これは言うべきかなあと思ったが、カッターナイフを相手はもっている、へんに刺激してはいけないのではと思い、じっと様子を見る。削りカスがこっちに飛んでこないかヒヤヒヤしつつ。

男性はかなりなれた様子であっという間に鉛筆を削るのを終えてしまった。削りカスはまったくこちらに飛んでこず、トレイにひろげた紙の上にちゃんと収まっている。そして、ふたたび原稿用紙に何か書き始めた。飛んでこなくてよかったとほっとしつつも、よく考えると、そもそも鉛筆をカッターナイフで削ること自体器用だし、電車の揺れで手元が狂うこともあるのに、あっという間にきれいに鉛筆を削ってしまう。おそらく、新幹線にいま乗っている人(16両編成の場合、定員は1323人らしい)の中で、こんなことができる人はおそらくこの男性以外まったくいないのではないかと思う。つまり、この人と同じような人は、日本国内に0.1%未満しかいないとも言える。

わたしはビールと弁当をたいらげ、ちょっとお手洗いにいくため席をはずした。戻ってくると、隣の男性も席にいない。ちょっとすると、その男性が戻ってきた。その男性が何か言う前に、その男性が自分の席にいけるように、トレイを上げたりして、通路を作った。男性はわたしの前を通りながらわたしに対して、「どうも」と小声で言い、軽く右手をあげた。

あれっ!この人、ふつうの人だった。というか、むしろいい人なんでは!

これぐらいのことで評価をころっと変えるわたしもどうかとは思うが、通路を作っても何もいわずに当然のようにしている人もけっこう多い(わたしの経験上)ことからすれば、この男性、とてもいい人というか、常識的な人かなあと思う。そして、男性は自分の席に座ると、コートが肘かけにしっかりかぶってしまっている。

どうも、わざとではなく、ぜんぜん気づいていないみたい(笑)。まあ、それならしょうがないかなあと思い、気にしないことにした。おかげでその後の車内では快適に過ごすことができた。さいしょに文句言わなくてよかった。