日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

戦略的思考とはとてもシンプル。難しくてよくわからんと思っている人に読んで頂きたい本

戦略がすべて(著者:瀧本哲史)、新潮新書、2015年12月発行、2016年1月4刷、

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とてもシンプルなタイトルですが、それゆえに、著者の瀧本氏の主張は明快かつ明確です。そもそも「戦略」とは何か?よく戦略が大事ということはよく言われますが、何が「戦略」なのかというは意外と難しい問です。

 

戦略を考えるというのは、今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強い・弱みを分析して、他の人とは全く違う努力の仕方やチップの張り方をすることなのだ(245ページ)

 

瀧本氏の定義は明確です。そして、こうも述べています。

 

意識していないかもしれないが、ほとんどの日本のビジネスマンは「高級作業員」にすぎない。いくら大企業に勤めていようとも、テンプレート化された仕事をより早く、より効率よく行うルーチンワーカーなのだ。だから戦略的思考を実践する機会もえんりゅ量も圧倒的に少なく、深刻な問題が発生した時に非定型的で非連続的な解を出すことができない(250ページ)

 

かなり衝撃的です。自分は戦略的であると思っている人ほど、じつは戦略とは何かを知らないという皮肉な場面が思い浮かびます。

 

現場が頑張って何とかするのは美談でもなんでもない

 

幹部などの上層部の議論よりも現場の議論を大事にする、机上の空論などと言う言葉はまさにその典型的な言葉ですが、こういう価値判断が日本では多いです。

これは、企業が未曽有宇の危機にさらされているのに、経営陣、幹部は無能で何も方向性を出せない、そして、そんな状況を見かねた現場が孤軍奮闘して危機を乗り越えるというパターンとも言い換えることができます。

テレビドラマにも出てきそうな筋書きですし、美談ととらえるのが一般的でしょう。しかし、この本によれば、それは美談でもなんでもない。瀧本氏によると、戦略(上層部)の失敗を戦術(現場)で補うのは不可能というのが戦略論の定石で、これを信じてしまうと現場が疲弊するばかり。「ブラック企業」はその最悪の例です。

 

成功するビジネスはすべて戦略の勝利である

 

瀧本氏がこういう言い方をしているわけではありませんが、この本では、様々な実際のビジネスモデルを具体例として紹介しながら、なぜそれが成功したのかを分析しています。そして、それは戦略的思考の成功例です。

そして同時に、戦略的思考というのは、どこか遠い世界の話ではなく、かなり身近なものであるということが分かります。

 

じつは、戦略的思考は簡単ではないけど、とてもシンプル

 

この本で紹介されている例の内容が、あまりに合理的であるがために、素人でも簡単に理解できてしまい、それゆえ、自分でもできるんではないかなんて思ってしまいます。

もちろん、自分でもできるなんていうのは錯覚に過ぎませんが、同時に、戦略的思考というのはとてもシンプルで、ある意味当たり前のことを言っているのだということを意味しています。

当たり前だから誰でもできるわけでなく、当たり前のことを当たり前にやるのは結構難しくトレーニングも必要ですが、戦略的思考というと、パソコンとか使ってすごい複雑なことを考えるというイメージを持ってしまいますが、そうではないように感じます。

今まで通りのことをしていてはダメ、人と同じことをしていてはダメ、というのが戦略的思考の出発点ではないかと感じました。島田紳助氏も同じことを言っています。

 

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