日々読書、時々一杯、折々投資

私の趣味をそのままタイトルにしました。 趣味のことでこれいいなあと思ったことを書いていきます。それが少しでもみなさまの参考になればさいわいです。

年をとるほどお金が大事という厳しいという、意外と誰も言ってくれない現実を教えてくれる本

退職金は何もしないと消えていく 60歳から「経済的自由」を手にする投資勉強法(著者:野尻哲史)、講談社+α新書、2008年11月第1刷発行、

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私はまだまだ退職金をもらう年にはほど遠いので、いま退職金について考えるのはあまり意味がないのですが、「経済的自由」という言葉にひかれてこの本を読みました。

 

あまり聞きなれない言葉ですが、元々は英語から来ている言葉のようです。会社とかからもらう給料に依存することなく、自分の資産からの収入だけで生きていける状態を指します。不労収入で食べていくとも言えます。こう聞くと悪いイメージですが、いまと違って昔は、権力者と違う意見を言うと仕事を失ったりということがありましたので、そういう仕事を失うリスクを気にすることなく自由に意見を言えるためには財産的基礎が必要である、という発想がベースにある言葉です。

 

著者はフィディリティ退職・投資教育研究所所長をつとめており、外資系の会社に勤めている影響かどうかはわかりませんが、この本には、きれいごとは書いてありません。とかくお金の話となると、どうも日本人は話しづらいというような意識があり、真正面からお金の大事さを述べることがありません。

 


現実問題として、お金がなくなった年寄りほど惨めなものはありません(148ページ)

 

著者の野尻氏は、ズバッと言い切っています。たしかにそうだなあと思います。でも、一方で、ここまではっきり言い切る人は珍しいと思います。お金はあった方がいいけどお金はすべてではない、とか、お金がなくても楽しく暮らせる、といった言い方が多いのではないでしょうか。こういう言い方が間違っているとは思いませんが、やはり、お金がないと惨めなのは間違いありません。

 

有料老人ホームに入ることができる人は、高齢者の一割程度にすぎないということです。つまりこの1割の人たちは、高い一時金を簡単に払うことができるお金持ち、またはしっかりと資産運用で準備をしてきた人たちです。一方、有料老人ホームに入ることができない残り9割のうち、金銭的にもっとも恵まれない1割に属する高齢者には、当然、有料老人ホームに入る手立てなどあるはずもなく、結局は生活保護に頼ることになります(87ページ)

 

いわゆる貧困老人のことです。たしかに惨めです。このようにお金の大事さを正面から指摘してくれる野尻氏は、貴重な存在だと思います。退職金をもらってホクホクの方だけでなく、まだまだもらえる年ではない、あるいは、もらえるかどうか分からない、という方にとっても、お金の大事さを知ることのできる本です。